東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 国際 > 紙面から > 10月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【国際】

サウジ、外交解決模索 石油施設攻撃1カ月

サウジアラビア東部アブカイクで、無人機によるとされる攻撃で穴が開いた施設の外壁=9月20日(共同)

写真

 サウジアラビア東部の石油関連施設を襲った攻撃から一カ月が過ぎた。米国とサウジはイランによる「戦争行為」と非難するが、攻撃主体はいまだ特定されず、サウジは外交解決を模索せざるを得なくなっている。一方、世界的な重要インフラが脅かされたことで、テロ組織にとって安価で運営コストの低い「弱者の武器」と言える無人機の脅威が浮き彫りになり、その対策が各国の急務になっている。 (カイロ・奥田哲平、ロンドン・藤沢有哉)

 ■イラン・サウジ接近か

 先月十四日の攻撃は、サウジ東部アブカイクにある世界最大の石油精製施設が狙われた。日量五百七十万バレルの生産が停止するという供給不安で世界経済が動揺した。イエメンの反政府武装組織フーシ派が犯行声明を出したが、米・サウジはイラン国内が攻撃拠点だったと疑う。

 サウジ国防力の脆弱(ぜいじゃく)さをあらわにした攻撃への衝撃は大きい。英シンクタンク「国際戦略研究所(IISS)」は八月の報告書で、石油や電気、淡水化施設といったサウジのインフラ防衛の弱点を指摘。特にアブカイクは「最も攻撃を受けやすい」と警告していた。

 米国はサウジの要請に応じて約二千人の増派を決定したものの、軍事報復に消極的な姿勢は明らか。サウジのムハンマド皇太子も「サウジとイランの戦争は世界経済を崩壊させる」と発言し、対話による政治解決を望む考えをにじませた。

 イラン外務省も十二日、「サウジを含む近隣諸国と誤解を解消するため協議する用意がある」とサウジに接近を図る。パキスタンのカーン首相は十三日からイランとサウジを相次ぎ訪問しており、間接的にメッセージをやりとりした可能性がある。

 ■「弱者の武器」

 サウジ石油関連施設への攻撃を巡っては、無人機攻撃を防ぐことの難しさも明らかになった。米シンクタンク「ストラトフォー」のラムラニ氏は、サウジが配備するミサイル防衛システム「パトリオット」は、高高度のミサイルや戦闘機に対応できるが、低空飛行の無人機などは検知が難しいと指摘。サウジのレーダー網がイエメンからの攻撃を防ぐために南方などに集中し、無人機などが飛来したとされる北方は手薄だったとみる。

 ロンドン大のジャックマン講師(政治地理学)は「進化した市販品も安全保障の懸念材料になっている」と訴える。実際、過激派組織「イスラム国」(IS)は市販の無人機を購入して専用部隊が戦闘で使用、昨年十二月の英紙タイムズの報道によると、テロ組織への捜査で爆弾を積んだ無人機のスケッチ画が発見された。

 英下院の国防委員会は今年四月、「無人機を使ったテロへの懸念が世界中で高まっている」として防御対策の調査を始めた。ただ、英サウサンプトン大のプライアー准教授は「レーダーやミサイル、妨害電波、音響探知を組み合わせれば侵入を防げるだろうが、コストなどが障壁になる」と話している。

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報