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【国際】

広がれ!ロシアのたい焼きファン あんこに魅了され、独学でカフェ

ロシア・サンクトペテルブルクで、日本のたい焼きの魅力にとりつかれ、普及を目指すアナスタシア・ベレゼネツさん

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 日本のたい焼きを愛し、世界への普及を夢見るロシア人女性がいる。ロシア第二の都市、サンクトペテルブルクでカフェを営むアナスタシア・ベレゼネツさん(29)。四年前に独学でたい焼き作りと販売を始め、日本での研修を経て、庶民の甘味をロシアで紹介している。「たい焼きの魅力をできる限り、多くの人に知ってもらいたい」とチェーン店の拡大に意気込む。 (サンクトペテルブルクで、栗田晃、写真も)

 サンクトペテルブルクの中心部にあるカフェ「たいやき」。ベレゼネツさん自慢の手のひらサイズのたい焼きは、生地の外側が香ばしく、中はふっくらとしている。粒あんも控えめで上品な甘さ。日本で食べるものと遜色ない味わいだ。

 この道にのめり込んだきっかけは二〇一二年、親友に会うために訪れた米ニューヨーク。日本食材店でどら焼きを買い、初めて食べたあんこのとりこになった。「二十個買ってロシアに持ち帰り、全部一人で食べた」と振り返る。

 ロシアにないあんこを自分で作りたくなった。インターネットで探していると、たい焼きを見つけた。「見た目がかわいかったので、どら焼きよりこっちだ、と」。たい焼きを食べたことはなかったが、通販でたい焼き器を取り寄せ、試作を始めた。

 イベントでの販売が好評だったことから、一五年秋に一号店をスタート。クラウドファンディングで資金を集め、翌年には二号店を開店した。合間には日本のテレビ番組の企画で、初めて訪日。本当のたい焼きの味は、自分がロシアで作ってきたものとは生地の香ばしさが違った。富山の名店「わかば」で生地やあんこのレシピを学び、ロシアに持ち帰った。

 カフェのたい焼きは、粒あんやカスタードクリームなどの甘味から、魚や肉を具にしたおかず風まで提供。来年には、首都モスクワに進出する計画もある。ユニークで有望な経営者として、今年八月には大手経済紙「ベドモスチ」に一ページの特集記事が掲載された。

 たい焼きは、招き猫が描かれた包み紙に一つ一つ丁寧に入れ、お客さんに提供する。「日本の思いやりの心、文化の紹介」が営業方針。現在、事業拡大に賛同する日本の支援者を探し、将来的には欧州に出店する夢を抱く。ベレゼネツさんは子どものころから、アニメの影響で日本好きになったが、旅費が高く、憧れの国は遠かった。「私のようにお金がなく、日本に行けない人のために、身近なカフェで日本を味わわせてあげたい」。日本人以上に熱い思いを抱く。

 

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