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【国際】

イラン、危うい瀬戸際戦術 未申告ウラン 欧州の懸念増す

11日、イラン・ケルマン州ラフサンジャンで演説するロウハニ大統領=イラン大統領府提供、AP・共同

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 【カイロ=奥田哲平】国際原子力機関(IAEA)がまとめた報告書で、イラン国内の未申告の場所から微量の天然ウランが検出されたことが明らかになった。イランは五月以降に核合意の規定破りを繰り返しているが、新たに秘密裏の核開発活動の疑いが浮上した形だ。欧米とイランともに緊張緩和に向けた打開策が見いだせないまま、核合意の形骸化が進む。

 AFP通信などによると、IAEAは報告書でウラン検出場所を明らかにしていないが、首都テヘラン郊外の施設とみられる。この施設を巡っては、イランを敵視するイスラエルのネタニヤフ首相が昨年九月、イランの「秘密倉庫」に一時十五キロの放射性物質が保管されていたと主張し、査察を要請していた。

 イラン外務省のムサビ報道官は十日、ウラン検出の報道について「これはわなだ。イスラエルは蒸し返そうとしている」と反論。IAEAは「可及的速やかに解決のために対話を継続することが不可欠」と詳しい説明を求めている。

 イランは核合意を一方的に離脱して経済制裁を再開した米国に対抗し、五月以降に合意の規定を段階的に破る措置を続ける。中部フォルドゥの地下核施設でのウラン濃縮再開が第四弾。低濃縮ウランの製造能力を高め、欧州から経済支援策を引き出す狙いだが、危うい瀬戸際戦術は逆効果を生みつつある。合意当事国の英独仏と欧州連合(EU)は十一日、報告書を受けて「極めて憂慮する」と懸念を表明。米とイランの仲介役を務め、合意存続を模索してきた欧州側にも、イランの挑発行為に対して国連制裁を再開する選択肢が現実味を帯びる。

 欧州が提案する経済支援策はトランプ米政権の同意を得られず、実行に移せていない。「最大限の圧力」を維持してイランの譲歩を引き出す米国の戦略は、逆に対米交渉を拒否するイランの保守強硬派を勢いづかせている。イランは支援策が得られなければ来年一月上旬に「第五弾」を発動するとみられる。核兵器製造が比較的容易となるウラン濃縮度20%への引き上げに踏み切れば、核合意の空中分解は決定的になる。

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