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【国際】

「静粛に!」英下院のバーカウ前議長が会見 EU離脱反対を明言

ロンドンで6日、英下院の議長退任後、初の会見に臨んだジョン・バーカウ氏=沢田千秋撮影

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 ヤジを飛ばす議員を「オーダー(静粛に)!」と独特の口調で注意する姿が欧州連合(EU)離脱を巡り混迷する英下院の象徴となった、ジョン・バーカウ前議長が六日、ロンドンの外国記者協会で、退任後初の会見に臨んだ。「EU離脱反対」の立場を明確に認めた上で、「議長でいる間は公平を貫いた」と強調。離脱延期を繰り返す下院は「全員の意見を聞いた民主主義の結果だ」と力説した。 (ロンドン・沢田千秋)

 「オーダー!」と叫ぶバーカウ氏の動画はテレビやインターネットを通じて欧州各国で拡散。十一月上旬には英国恒例の祭りで、その年の「顔」として、バーカウ氏の巨大な張りぼてが燃やされた。両手には、離脱で激しく対立する与党・保守党のジョンソン首相と最大野党・労働党のコービン党首の首が…。

10月30日、英国恒例の祭で「今年の顔」としてお目見えしたバーカウ氏の人形=PA

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 バーカウ氏は保守党出身だが、離脱審議では、時に与党の修正案を採用せず、メイ前首相が求めた採決も不許可にした。ジョンソン氏による下院閉会は議場で「尋常でない」と糾弾。十月末の再延期に関し、ジョンソン氏が拒否した際は、代わりにEUへの延期申請の書簡に署名する覚悟まで決めていたという。

 このため、一部の英メディアや与党は「親EUセレブ」「野党寄り」と批判し、総選挙ではバーカウ氏に対抗馬を立てると脅した。確かに、バーカウ氏の存在は、社会、経済を混乱させる「合意なき離脱」回避の功労者や離脱延期の牽引者に映ることもあった。

 だが、会見でバーカウ氏が繰り返したのは「公平」という言葉。「誰に対しても死ぬまで言う。私は議長として、議会を第一とし、離脱派、残留派に対し、常に公平にやってきた」

 十年間の在職期間中、オーダーと叫んだ数は一万四千回。行き詰まる離脱審議に国民はいら立ち、ちまたには「英国の離脱完了には、その他の加盟二十七カ国がEUを出るのが一番早い」という冗談まである。

 実際、バーカウ氏も「離脱の議論は少なくともあと五年、もしかしたら十年、ひょっとしたら十五年続く」と警告する。それでも、「離脱問題のような重要議題を扱う時の最も民主的手法は、全員の声をできるだけ聞くことだ。どの議会もそうであるように、討議、分析、精査、修正が議会の役割だ。忍耐の欠如と結論を導く努力への怠慢は、議会が目指す姿ではない」と、言い切った。

 バーカウ氏は十月三十一日に議長を退任し、十二月の総選挙にも出馬しない。最後に、一般人として思いのたけを語った。「離脱はわが国にとってよいか、答えはノーだ。離脱は、戦後最大の外交政策の誤りだ」。真正のEU残留派だったバーカウ氏。退任が今後の離脱審議に与える影響は決して小さくない。

 

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