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【国際】

イラクデモ、悪化の一途 政府に影響力 イランにも矛先

12日、イラクの首都バグダッドで、治安部隊が放った催涙ガスから逃れるデモ隊=AP

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 【カイロ=奥田哲平】イラク各地で十月から続く反政府デモが悪化の一途をたどっている。AFP通信によると、治安機関との衝突で少なくとも三百人以上が死亡。サレハ大統領は早期の総選挙実施の意向を表明して沈静化を図るが、生活改善や政治家の汚職撤廃を訴えるデモ隊の反発は収まらず、批判の矛先はイラクへの影響力を強めるイランにも向かっている。

 抗議活動は十月一日に始まり、途中に宗教行事を挟んで同二十五日から再燃した。首都バグダッドから南部に波及し、治安部隊が実弾や催涙弾で対抗して死傷者が増大。二〇〇三年のイラク戦争以降で最大規模とみられる。首都では政府機関が集まる「グリーンゾーン」につながる広場にデモ隊が拠点を構え、一歩も引かない構えだ。

 前線に立つのは若者が中心で、負傷者の救助や炊き出しボランティアも。当初から参加する女性(24)は電話取材に「大学を出ても政治家にコネがなければ仕事に就けない。未来に希望が持てないなら、自らの手で変えるしかない」と話す。若者の失業率は25%に上り、電気や水道などの公共サービスの不備が常態化している。

 政治指導層の汚職体質にも市民の怒りは爆発している。首都南郊ディワンヤでデモに加わる学校職員オサマ・ノアイマイさん(33)は「政治家が公園の土地を手に入れて飲食店に変え、金もうけをしている」と憤る。国際非政府組織(NGO)が発表する政治家や公務員の汚職指数は百八十カ国中百六十八位で、世界的に見ても汚職度合いは高い。

 今回のデモで異例なのは、イラク戦争後に影響力を強めたイランに対する反発が表面化したことだ。イスラム教シーア派聖地カルバラでは三日にイラン領事館が襲撃を受けた。宗教行事の期間中にイラン治安機関が巡礼者保護を名目に職員を配置し、住民の反感が強まったという。

 十月下旬にイラク入りしたイラン精鋭軍事組織「革命防衛隊」の幹部は、影響下にあるシーア派政党と対応を協議。アブドルマハディ首相の辞任に傾きかけた流れを止めたとされる。

 イランの最高指導者ハメネイ師は、敵対する米国やサウジアラビアが「騒乱を広げている」と陰謀説を唱えるが、政治評論家アラア・ハダド氏は「デモ隊は宗派や民族を超えて集まっている。占領者のように振る舞う政治介入は逆効果になるだろう」と指摘した。

 

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