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【国際】

米、ユダヤ人 入植容認 ヨルダン川西岸「国際法矛盾せず」

18日、ワシントンの米国務省で、記者会見するポンペオ国務長官=AP・共同

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 【ワシントン=岩田仲弘】ポンペオ米国務長官は十八日、国務省で記者会見し、イスラエルが占領したパレスチナ自治区ヨルダン川西岸のユダヤ人入植活動について「入植そのものは国際法に矛盾していない」と表明、事実上容認する考えを示した。

 米政府は一九七八年のカーター政権以来、入植活動が占領地の地位変更を禁じたジュネーブ条約などと矛盾するとの立場を取ってきた。トランプ政権は約四十年ぶりに政府方針を転換し、親イスラエルの立場をより鮮明に打ち出した。

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 ポンペオ氏はその上で、イスラエル、パレスチナ双方にとって繊細な入植問題について「前政権は任期満了直前に、違法の可能性があると公式に明言した」とオバマ前政権の対応を批判。「個々の入植に関する(違法かどうかの)法的な結論は、それぞれの実態の評価による」として、米政府としては今後、法的見解を示さない姿勢を打ち出すとともに、ヨルダン川西岸の位置付けも「予断を持って判断しない」と強調した。

 トランプ大統領は就任以来、エルサレムをイスラエルの首都と認め、在米大使館を移転。さらにゴラン高原のイスラエル主権承認、イランとの核合意破棄など、露骨な親イスラエル政策を次々と実施。来年の大統領選に向け、米国の人口の四分の一を占め、イスラエルを支持するキリスト教最大宗派である福音派の支持を固める狙いがある。

<ユダヤ人入植地> 1967年の第3次中東戦争によってイスラエルが占領したパレスチナ自治区ヨルダン川西岸や東エルサレムで進む居住区。武力により占領された領土に自国民を移住させるのはジュネーブ条約に違反する。入植地を結ぶ道路網や分離壁でパレスチナ人地域は分断され将来の国家樹立を目指す「2国家共存案」の障害になっている。2004年に国際司法裁判所が入植地は国際法違反と認めたほか、国連安全保障理事会は16年末に、入植地建設の停止を求める決議案を採択。任期終了間近のオバマ米政権は拒否権を発動しなかった。

◆イスラエル、方針転換歓迎 「2国家共存」遠のく恐れ

 【カイロ=奥田哲平】イスラエルのユダヤ人入植地を事実上容認するトランプ米政権の方針を受け、ネタニヤフ首相は十八日、「歴史的な誤りを正した」と歓迎した。パレスチナ自治政府が反発するのは必至だ。今後イスラエルが入植活動を一段と拡大すれば、中東和平の根幹である「二国家共存」がさらに遠のく可能性がある。

 ネタニヤフ氏は、四月の総選挙直前にパレスチナ自治区ヨルダン川西岸の入植地を一部併合する考えを示し、米政権に支持を呼び掛けていた。入植活動を違法視しない今回の政策転換は、窮地のネタニヤフ氏を側面支援する狙いがあるとみられる。

 ネタニヤフ氏は四月の選挙後の組閣に失敗し、九月のやり直し選挙でも連立交渉をまとめられなかった。自らの汚職疑惑を巡って検察当局が週明けにも正式起訴する方針を表明するとみられ、政治生命が絶たれる瀬戸際にある。

 監視団体「ピースナウ」によると、ユダヤ人入植地はヨルダン川西岸と東エルサレムの両地域で約百四十カ所あり、六十万人以上が居住。イスラエルに肩入れするトランプ政権が発足したのを追い風に、二〇一七年以降に建設戸数を増やしている。

 これに対し、パレスチナ自治政府のアッバス議長の報道官は「完全に国際法に反する」と非難。「米国に国際法の決議を無効にする資格や権限はなく、入植地の適法性を保証する権利はない」とした。中東和平交渉でパレスチナ側は、占領地からの原則撤退を要求している。

 

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