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【国際】

銃なき社会へ NZの挑戦 乱射事件後 所持品買い取り

7月、ニュージーランド・ウェリントンの銃回収イベントで弾丸を除去する人=ゲッティ・共同

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 ニュージーランドのモスク(イスラム教礼拝所)で三月、男が銃を乱射して五十一人を殺害した事件以降、同国ではアーダン首相の主導で銃一掃の取り組みが続いている。市中に出回った銃の買い取りも目玉の一つだ。乱射事件が頻発しながら銃規制を進めないトランプ米政権とは対照的に、大胆な改革で国際社会の注目を集めている。

 「幅広い分野でわが国の銃規制法の弱さを露呈した。今こそ行動する時だ」。アーダン氏はモスク銃乱射事件を受け、規制強化への決意を強調。事件から一週間たたないうちに、犯行に使われた軍仕様の半自動小銃の所持禁止や、流通している銃を国が買い上げる制度の導入方針を表明した。銃規制法改正案は四月に議会で可決された。

クライストチャーチで3月、銃規制策を発表するアーダン首相=ゲッティ・共同

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 ニュージーランドでは狩猟を趣味とする人が多いほか、害獣駆除のため農家が銃を所持するケースも。法改正案の採決時には、農家を支持基盤とし、銃規制反対のロビー団体と近い野党国民党も所属全議員が賛成票を投じ、アーダン氏の熱意が通じた形となった。

 六月に始まった銃の買い取りには約二億ニュージーランドドル(約百四十億円)を投じ、免許を取得して所持していた場合は最高で元の価格の95%、最低で25%を補償。無免許の場合は買い取り対象としなかったが、提出すれば罪に問わないとし、少しでも多くの銃を回収する条件を整えた。

 ナッシュ警察相によると、十一月上旬までに銃約三万六千丁、関連部品約十三万二千点が集まった。ナッシュ氏は、今月二十日に迫る期限までに提出しなければ収監もあり得ると警告。まだ回収に応じていない所有者が多いとみて、厳しい姿勢で臨んでいる。

 政府は九月、銃自体の登録制度の新設などを盛り込んだ規制強化第二弾となる法案を議会に提出。「銃犯罪の大半は(銃保有の)免許を持たない人が盗んだか、違法に取引された銃で起きている」(アーダン氏)として、流通している銃の情報管理を徹底する方針だ。

 十一月には、犯罪歴のある人物が銃の販売店などに立ち入ることを禁じる制度の導入も発表。意欲的な取り組みが国際的に評価され、アーダン氏はノーベル平和賞候補にも取り沙汰されている。

 事件ではパキスタンなど外国籍のイスラム教徒も犠牲になった。殺人罪などに問われたオーストラリア人の男の実質的な公判は来年六月に始まる予定で、準備の審理が続いている。事件が起きた都市クライストチャーチのパキスタン協会オサマ・ビン・タリク書記長は「将来、同じような事件が起こりにくくなったと思う。首相が示したリーダーシップは印象的で、世界の指導者は見習うべきだ」と話している。(シドニー・共同)

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