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【国際】

チリ反政府デモ 「国家の暴力」告発 散弾銃・催涙ガス…多数が失明

10日、サンティアゴ市街地で、警察当局の散弾銃などによる失明を訴えるため目のイラストを掲げて抗議する人たち=赤川肇撮影

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 【サンティアゴ=赤川肇】地下鉄運賃の値上げ発表をきっかけに激化した南米チリの反政府デモは、二カ月近く経た今も首都サンティアゴなどで続いている。デモ参加者らが警察当局による散弾銃や催涙ガス弾発射で失明する事例が相次ぎ、国際人権団体などが「公権力の過剰な暴力」を問題視。ピニェラ政権は最低賃金の引き上げでデモの沈静化を図ってきたが、市民は強く反発しており、抗議行動は長期化する可能性が高いとみられる。

 「国民の目がテロ国家を告発する!」。国連が定める「世界人権デー」の十日、サンティアゴ中心部の広場では、大勢の市民が目のイラストを掲げながら、声を張り上げた。

 政府の独立人権機関によると、十一月二十五日までにデモで少なくとも計二千八百八人が負傷。このうち61%が散弾銃のペレットやゴム弾による被弾が原因だった。目の負傷は二百三十二人に上り、AP通信によると少なくとも五十人が義眼が必要になるとみられる。

 国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウオッチ(本部・ニューヨーク)は、デモ参加者が暴力的かどうかに関わらず、治安当局が無差別に散弾銃を発砲していると判断。十一月下旬に「警察は重大な人権侵害を犯している」と指摘した。

 イラストを持って参加した求職中のイワン・リバスさん(30)は「年金や教育など多くの問題に対して立ち上がった国民を沈黙させるために政府は目を撃ってきた」と憤っていた。

 ピニェラ大統領はデモ隊による放火や破壊行為などを抑えるため、街頭に軍を配備して沈静化に当たる方針。「私たちは容赦のない敵と相対している」と実力行使を辞さない構えを示しており、サンティアゴでは十日、一部デモ隊の投石に治安当局が催涙ガスや放水砲で応戦するなど、激しい衝突が繰り返された。

 デモは、サンティアゴの地下鉄運賃を八百ペソ(百十六円)から八百三十ペソに値上げする政府発表を発端に、十月中旬から激化。ピニェラ氏は値上げを撤回したほか「問題が何十年も蓄積してきたのは事実だ」と陳謝した。年金支給額や最低賃金の引き上げも打ち出したが、サンティアゴでは連日のように治安当局とデモ隊との衝突が続いている。

 サンティアゴでは十一月にアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議、十二月に国連気候変動枠組み条約第二十五回締約国会議(COP25)の開催が予定されていたが、「秩序と安全の回復が最優先」(ピニェラ氏)として中止された。

 

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