東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 国際 > 紙面から > 12月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【国際】

故アウン・サン将軍の銅像押し付け 少数民族反発 ミャンマー「歴史観の強要」

ミャンマー東部ロイコーで、警察官が配置され、立ち入り禁止の公園にあるアウン・サン将軍の銅像

写真

 少数民族カヤらが暮らすミャンマー東部カヤ州の州都ロイコーで、アウン・サン・スー・チー国家顧問の父・故アウン・サン将軍の銅像を巡り、州政府と住民の対立が続いている。多数派民族のビルマ人にとっては英植民地からの独立運動を指導した英雄だが、少数民族にはアウン・サン将軍はビルマ人による抑圧の象徴のように映り、スー・チー氏率いる国民民主連盟(NLD)政権への不信感を生んでいる。 (ロイコーで、北川成史、写真も)

 金色の銅像が立つのはロイコー中心部近くの公園。門は閉ざされ、敷地内で銃を携えた警察官が目を光らせている。住民らによると、二月の銅像完成式典後、立ち入り禁止だという。

 昨年、銅像建設計画が公になると反対運動が湧き起こった。背景にカヤ州を巡る歴史が横たわる。英国はミャンマーを植民地化した際、ビルマ人地域は直接支配したが、カヤ州などの少数民族地域には自治権を与え、分割統治した。

 「(事実上)独立していたカヤたちにとって、アウン・サン将軍は指導者ではない。銅像はビルマ側の歴史観を植え付ける狙いでは」。建設に反対する地元若者グループのム・アンジェラさん(29)は疑問視する。

 当局は建設を強行し、反対運動の押さえつけを図る。今年二月、反対派のデモに警察がゴム弾を発射し、約二十人が負傷。六月には、建設を主導するNLDの州首相を批判した活動家六人が、市民のプライバシーと安全を守る法律違反容疑で逮捕され、十一月に懲役六月の実刑判決を受けた。

 銅像建設へのスー・チー氏の関与の度合いは定かではないが、アウン・サン将軍の銅像は別の少数民族が住む北部カチン州や西部チン州でも計画され、反対運動が起きている。

 カヤ州の少数民族政党「カヤン民族党」のクン・ベドゥ議長(35)は「NLDは常にスー・チー氏とアウン・サン将軍のイメージを利用する。銅像建設は来年の総選挙向けのキャンペーンだろうが、大きな間違いだ」と批判する。

 カヤの武装勢力「カレンニー民族進歩党」(KNPP)の窓口役クー・ニー・レー氏(35)は「銅像問題は和平対話を妨げる」と警告。スー・チー氏は約二十ある少数民族武装勢力と全国的な停戦協定の締結を目指すが、KNPPなど約半数が署名していない。

 スー・チー氏は十一日、イスラム教徒少数民族ロヒンギャへの迫害に関し、国際法廷で「ジェノサイド」(民族大量虐殺)との指摘を否定。ビルマ人らの愛国心を刺激し、応援の声が上がったが、少数民族のスー・チー氏支持を呼び起こすとは限らない。

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報