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【国際】

<新型コロナ>習政権 宣伝に躍起 「世界は中国に感謝を」批判続ける米メディアに反発

新型肺炎に関する研究報告を聞く中国の習近平国家主席(手前左)ら=2日、北京で(新華社・共同)

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 【北京=中沢穣】中国の習近平(しゅうきんぺい)政権が、新型コロナウイルス感染症に対し、防疫の最前線で戦う「責任ある大国」という印象を広める宣伝活動に力を入れている。国内では初期対応の遅れから国民に多大な犠牲を強いた現実から目をそらさせ、国外では感染症の発生源になったことによるイメージの悪化を避ける思惑があるとみられる。

 中国外務省の馬朝旭(ばちょうきょく)次官は五日の記者会見で「世界の公共衛生に対する中国の貢献は、全世界で認められた」と訴えた。同日には同省の趙立堅(ちょうりつけん)副報道局長も定例記者会見で、米FOXテレビの司会者が「中国は世界に謝罪するべきだ」と発言したことにかみつき、「中国の感染症対策は責任ある大国のあるべき姿だった」と反発した。

 習政権は、感染症を広めたとして中国批判を繰り返す米メディアへのいらだちを隠さない。国営新華社は四日の評論記事で「世界は中国に感謝するべきだ」と踏み込んだ。中国メディアは、米国や日本、韓国などの対策が徹底していないとし、「中国の制度の優位性」を盛んに強調する。

 さらに習政権は新型ウイルスの発生源が中国国内ではないとの主張もにじませる。中国メディアは、政府の専門家チームトップの鍾南山(しょうなんざん)医師が先月二十七日に「感染拡大は最初に中国で起きたが、発生源は必ずしも国内とは限らない」と発言したことを繰り返し報じている。習国家主席も二日に清華大などを視察した際、「ウイルスがどこからきたか明らかにするべきだ」と言及した。

 しかし、すべてが順調とはいえない。習政権のウイルス対応の適切さをアピールしようと、二月二十六日に出版が発表された書籍「大国戦『疫』」は、三月一日から急に購入できなくなった。国営メディアが伝えた宣伝文句によると、同書は党中央宣伝部の指導で編集され、「習同志が指導した防疫戦争の全貌を紹介する」内容だった。

 同書に対し、ネット上では「子どもは学校に行けず、武漢人は外出もできないのに(感染症への)勝利を口にするのか」などと反発が広がったため、当局が出版を控えたとみられる。北京の人権活動家は「情報統制などが初期対応の遅れを招いたことを中国人は忘れていない」と話した。

 

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