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【国際】

<新型コロナ>中国でDV深刻 在宅勤務、経済不安でストレス蓄積

DV被害を訴える上海市の女性が公開した写真=微博より

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 新型コロナウイルスの感染が続く中国で、家庭内暴力(DV)が深刻になっている。被害者支援団体などは、自宅隔離や在宅勤務で家に閉じこもって蓄積したストレスや、経済的不安が背景にあると指摘する。当地の新規感染者数はこのところ減少し、市民生活の制限も緩和されてきた。しかし、一度悪化した夫婦関係は修復されず、離婚に至るケースも増えている。(北京・坪井千隼)

◆省封鎖後に大幅増

 「湖北省が封鎖された一月下旬から、夫から暴力を受けたという相談が大幅に増えた」。湖北省武漢市の女性団体「〇七四職場女性法律熱線」の郭晶さんは電話取材に答えた。

 中国ではDVの全国的な統計はないが、湖北省のある県では、二月の相談件数が百六十二件と、昨年同時期の三倍に増えた。

 武漢市が一月二十三日に都市封鎖されて以降、同省では住民の外出が厳しく制限された。家にこもってネットやテレビばかりの生活が続き、暇を持て余し酒浸りになる人も増えた。

 郭さんは「家に閉じこもるストレスや仕事が減る経済的不安が、DVをエスカレートさせた。移動が制限され、被害者も逃げ場を失った」と指摘する。

 中国紙「南方週末」によると、同省の三十代女性は離婚した夫から「よりを戻したい」と頼まれ、一月下旬から子どもを連れて同居を再開。だが外出制限が強まる中で家庭内で言い争いが絶えなくなった。二月上旬、前夫から激しい暴行を受け、隣の県に住む親族に助けを求めた。親族は車で向かおうとしたが、移動制限が厳重で助けに行くことができなかった。

 湖北省以外でもDV被害は目立つ。全国から相談を受ける女性団体「為平」の責任者・馮媛さんは「湖北省だけでなく全国的に相談件数が増えており、例年の四倍ほど」という。

 中国の場合、DV被害者は九割が女性だ。上海市のある女性は三月下旬、SNS「微博」に、夫から暴行を受け血だらけになったとして、自身の顔の写真を掲載し助けを求めた。

◆自殺するケースも

 追い込まれた被害者が自殺するケースも。三月九日、夫からの度重なるDV被害に悩んでいた山西省の四十二歳の女性が「今日は本当に悪夢だ。心が壊れそう」と友人にメッセージを送ったのを最後に飛び降り自殺した。地元公安当局は繰り返されるDVを苦にした自殺と結論付けた。

 DVを防ごうという取り組みも出てきた。広東省広州市と地元女性団体は三月上旬、被害者向けのDVマニュアルを作成しネット上に載せた。被害を受けた場合、鍵のかかる部屋に逃げ込むなどして身の安全を図り、警察や町内会の役員などに通報するよう指導。医療相談や離婚調停も解説している。

◆女性警官「相談を」

 安徽省淮北市では三月下旬、女性警官らがDVの啓発チラシを市内の女性たちに配布し、「被害に遭ったら相談して」と呼び掛けた。

3月下旬、安徽省淮北市で、DVの啓発チラシを市内の女性たちに配布し警戒を呼びかける女性警官=微博より

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 馮さんは「警察も感染対策で忙しく、地域によってはDVへの対応が不十分なところもある。地域の女性団体や町内会、警察が連携してDV対策に当たることが大切だ」と訴える。

 中国では、このところ新規感染者が減少。最も多い時期は一日に三千人を超えたが、最近は国外から入国した感染者を除き、国内の新規感染者はゼロに近い状況だ。社会生活は徐々に正常化し、今月八日には武漢市の都市封鎖措置も解除される予定だ。

 ただDVで一度大きなひびが入った夫婦関係は、市民生活が元に戻っても修復は困難だ。離婚に至る夫婦も多い。三月から離婚申請の手続き業務を再開した各地の役所では、希望者が殺到し、予約が入りにくい状態だ。中国メディアによると、陝西省西安市や上海市などでは、一カ月近く先まで離婚申請の予約が埋まっている状況という。

 

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