舞踊芸術賞

 東京新聞は、芸術の向上発展を奨励するため「舞踊芸術賞」を制定します。
 毎年1回、舞踊芸術の向上発展に寄与した邦舞及び洋舞の舞踊家に「舞踊芸術賞」を贈ってこれを表彰します。表彰の時期は6月とし、受賞者は各舞踊部門において近年最も顕著な功績を挙げている舞踊家、あるいは技術いよいよ円熟の境地に達した舞踊家を選びます。舞踊芸術賞選考委員会を舞踊家、舞踊評論家及び舞踊に関心ある学識経験者若干名を委嘱し、東京新聞側の代表を加えて組織します。
 なお、舞踊芸術賞選考委員は毎年改めて委嘱します。選考委員会には舞踊家、舞踊評論家及び東京新聞舞踊関係担当者などの意見も参考に提出して協議します。
 受賞者は、委員会において推薦された候補者につき審議選考のうえ決定します。 舞踊芸術賞は賞状、賞牌及副賞金とします。

第68回受賞者 坂東会相談役・坂東勝友さん
        バレエシャンブルウエスト芸術監督・川口ゆり子さん

歴代受賞者
坂東勝友さん、川口ゆり子さん

(左)坂東会相談役・坂東勝友さん (右)バレエシャンブルウエスト芸術監督・川口ゆり子さん

 舞踊芸術の向上発展に寄与した邦舞と洋舞の舞踊家に贈られる「第六十八回舞踊芸術賞」(東京新聞制定)の選考会が開かれ、邦舞は坂東会相談役の坂東勝友(かつとも)さん(東京都江東区)、洋舞はバレエシャンブルウエスト芸術監督の川口ゆり子さん(八王子市)に決定した。賞金は五十万円。表彰式は六月二日、日本プレスセンター(千代田区内幸町)で行われる。
 選考会で、坂東さんは「来年百年を迎える坂東流の伝承発展に努め、現家元である巳之助の十一代三津五郎誕生につなぐ役割に大いに貢献」、川口さんは「数多くの作品に主演し、国内を代表するバレリーナとして一時代を築くとともに、山梨・清里で毎年バレエ公演を開催するなど地域振興にも貢献」と評価された。
 坂東さんは一九四〇年、江東区生まれ。母・初代坂東勝友に師事し、六歳で初舞台。二〇一一年に舞踊批評家協会賞、一七年に文化庁長官表彰を受賞。川口さんは一九五〇年、八王子市生まれ。牧阿佐美バレエ団入団後、「運命」の主役でデビュー。二〇〇五年に芸術選奨文部科学大臣賞、翌年に紫綬褒章を受章した。

2020年3月25日・東京新聞

受賞者インタビュー

◆坂東会相談役 坂東勝友(ばんどう・かつとも)さん(80)

坂東勝友さん

坂東勝友さん

 日本舞踊五大流派の一つ、坂東流一筋に70年以上。同流派では初となる受賞に「涙が出た」と喜びを隠さない。
 母の初代勝友を師匠に2歳で踊りを始めたが、戦況の悪化で疎開した。戦後、戻った東京・亀戸からは焼け野原の向こうに、空襲に耐えた浅草のビルが望めた。踊りを再開し、6歳で初舞台を踏んだ。
 流派の家元は代々、歌舞伎役者で、九代目坂東三津五郎には特に多くを学んだ。「うまく踊ろうとせず、役になりきりなさい」。厳しかったが家族同様に愛情を注がれた。
 芝居ものを得意とする坂東流。「流れるように柔らかく、次の振りにつながるように舞う。決めるところは、きっちり決める。そこが難しい」と話す。門弟らでつくる坂東会の相談役を務め、2017年には芸術文化の振興、後進の育成に努めた功績で、文化庁長官表彰を受けた。
 ミュージカルや大衆演劇にも足を運ぶ。客の楽しませ方など「全て勉強になる」。来年、坂東会は100周年を迎えるが、踊りを習う子供の減少は気掛かりだ。「気軽に学び、長く続けてほしい。私も老いてられない」と伝統の継承を心に誓う。 (古賀健一郎)

 

2020年4月14日・東京新聞

◆バレエシャンブルウエスト芸術監督 川口(かわぐち)ゆり子さん(69)

川口ゆり子さん

川口ゆり子さん

 「部屋に引きこもり、10キロ以上ぶくぶくに太った。バレエをやめようと思いました」。順風満帆なバレエ人生を歩み、芸術選奨新人賞を受賞した直後の試練だった。腎臓結石を患って前途を悲観し、3年近いブランクが続いた。窮地から救ってくれたのが恩師の牧阿佐美さんだった。「とにかく稽古場に出てきなさい」
 バーにつかまって足を上げると歓喜が湧き上がった。「バレエが好きなんだと、稲妻に打たれたように分かった」
 4歳で、バレエを始めた。1963年牧阿佐美バレエ団に入り、翌年「運命」の主役でデビュー。69年米ニューヨークに留学し、帰国後は牧バレエ団のプリマとして活躍。3年の空白期間後、多くの作品に主演し、国内を代表するバレリーナとして一時代を築いた。89年自身の地元にバレエ団を設立し、毎年、山梨県清里町で公演。東日本大震災の被災地で巡回公演するなど地域振興への貢献も評価された。
 今も現役バレリーナを続ける。「若い頃のようにぐるぐる回ったり跳びはねたりできないけれど、間の取り方とか全幕のつなげ方とか、本番の姿を若い人に見てほしい」。八王子市出身。(藤原正樹)

 

2020年4月15日・東京新聞

歴代受賞者

第1回 藤陰 静樹さん 第2回 石井 漠さん
第3回 花柳 寿応さん 第4回 藤間 藤子さん
第5回 高田 せい子さん 第6回 島田 豊さん
第7回 花柳 徳兵衛さん 第8回 藤間 勘十郎さん
第9回 楳茂都 陸平さん 第10回 江口 隆哉さん
第11回 橘 秋子さん 第12回 花柳 壽楽さん
第13回 武原 はんさん 第14回 河上 鈴子さん
第15回 五条 珠美さん 第16回 吾妻 徳穂さん
第17回 石井 みどりさん 第18回 花柳 寿南海さん
第19回 神崎 ひでさん 第20回 谷 桃子さん
第21回 花柳 昌太郎さん 第22回 貝谷 八百子さん
第23回 藤間 秀斉さん 第24回 平岡 斗南夫さん
第25回 藤間 友章さん 第26回 平多 正於さん
第27回 猿若 清方さん 第28回 松山 樹子さん
第29回 服部 智恵子さん 第30回 吉村 雄輝さん
第31回 芙二 三枝子さん 第32回 若柳 吉三次さん
第33回 森下 洋子さん 第34回 泉 徳右衛門さん
第35回 牧 阿佐美さん 第36回 扇崎 秀園さん
第37回 西川 扇藏さん 第38回 西田 堯さん
第39回 花柳 寿恵幸さん 第40回 佐多 達枝さん
第41回 高濱流 光妙さん 第42回 藤井 公さん
第43回 藤間 蘭景さん 第44回 石田 種生さん
第45回 林 一枝さん 折田 克子さん
第46回 花柳 千代さん 石井 潤さん
第47回 花柳 芳次郎さん 小島 章司さん
第48回 猿若 吉代さん 清水 哲太郎さん
第49回 西川 扇祥さん アキコ カンダさん
第50回 藤間 章作さん 熊川 哲也さん
第51回 山村 楽正さん 佐藤 桂子さん
第52回 藤間 紋寿郎さん 小林 紀子さん
第53回 西崎 緑さん 吉田 都さん
第54回 橘 芳慧さん 小松原 庸子さん
第55回 尾上 菊之丞さん 法村 牧緒さん
第56回 花柳 寿美さん 若松 美黄さん
第57回 藤間 藤太郎さん 下村 由理恵さん
第58回 尾上 菊乃里さん 岡田 昌己さん
第59回 仙田 容子さん 斎藤 友佳理さん
第60回 若柳 東穂さん 石井 清子さん
第61回 花柳 茂香さん 森 嘉子さん
第62回 二代目 若柳 吉駒さん 佐々木 大さん
第63回 花柳 眞理子さん 岡本 佳津子さん
第64回 麿 赤兒さん 井上 八千代さん
第65回 藤蔭 静枝さん 大原 永子さん
第66回 花柳 輔太朗さん 篠原 聖一さん
第67回 深川 秀夫さん 水木 佑歌さん
第68回 坂東 勝友さん 川口 ゆり子さん