中川鋭之助賞

 東京新聞は、日本の舞踊界発展に貢献した中川鋭之助氏の功績を顕彰し、若手ダンサーの育成に資するため「中川鋭之助賞」を制定します。
 賞は年1回、1名に対して贈り、受賞対象は日本の舞踊界で活躍し、近年国内あるいは国外で優れた業績をあげ、今後さらに飛躍が期待されるバレエまたは現代舞踊の若手ダンサーです。同一人の重ねての受賞はありません。受賞者は東京新聞が委嘱する選考委員若干名と東京新聞関係者の協議により決定します。
 受賞者には賞状、トロフィー、賞金10万円が送られます。トロフィーは持ち回りとし、受賞者は翌年の授賞式までに返還、代わりにレプリカを受け取ります。
 中川鋭之助賞選考委員会は、東京新聞が委嘱したバレエ、現代舞踊の舞踊家、舞踊関係者若干名及び東京新聞舞踊関係者で構成します。賞の決定は合議による全会一致とします。
 選考会開催に先立ち、参考として東京新聞は候補者について舞踊関係者にアンケートを求めます。選考会で特に優秀な新人が見当たらない場合、当年の「中川鋭之助賞」は見送りとします。

第26回 木村 優里さんが受賞

歴代受賞者
木村 優里さん

 新進気鋭の洋舞界の若手ダンサーに贈られる「中川鋭之助賞」の今年の受賞者に、新国立劇場バレエ団の木村優里さん(24)が選ばれた。
本紙が制定した同賞は、将来の舞踊界を担うと期待されるダンサーに贈られる。これまで吉田都さんほか、日本を代表する舞踊家が受賞してきた。
 木村さんは千葉県出身で、泉バレエ塾で泉敬子、泉敦子、橘バレエ学校で牧阿佐美の各氏に師事。二〇一五年に新国立劇場バレエ研修所を修了し、同バレエ団にソリストとして入団した。
 一九年、ファースト・ソリストに昇格。同バレエ団の公演で「ロメオとジュリエット」など多くの作品で主役を演じ、日本バレエ協会公演にも主役として招かれ、好評を得ている。
 選考には、舞踊家の岡本佳津子、花輪洋治、評論家うらわまこと、林愛子の四氏と、本紙の稲熊均事業局長が当たった。美しいラインと見事なテクニックを備え、役の表現にも一段の磨きをかけて、多くの観客を魅了。「今後、一層の飛躍が期待されるダンサー」と評価された。

2020年3月2日・東京新聞

木村 優里さん

受賞者インタビュー

木村優里さん

 バレエに言葉はない。だが言葉とも格闘し表現力を磨いてきた。「研修時代、演劇の方と『ロメオとジュリエット』を演じたことがあります。演劇の男性はせりふで、私はバレエで表現します。相手の熱情的な言葉に、私は『ロメオ、なぜあなたはロメオなの』という思いを踊りで返す。得難い体験でした」
  所属する新国立劇場バレエ団で昨年、「ファースト・ソリスト」に昇格。お披露目となった「ロメオとジュリエット」などの舞台が評価され、新進気鋭のダンサーを顕彰する中川鋭之助賞を受賞した。
 3歳でバレエを始め、新国立劇場バレエ団に研修所を経て入団。1年目に主役デビューを果たしている。美しいラインと技術に加え、役の表現にも進境を見せている。
 「ドラマチックな場面でお客さんが息をのむ。そんな気配を受け止めた時、客席と舞台の境界線がなくなり、表現が伝わったと感じられる」
 第1回受賞者・吉田都さんのような国際的トップダンサーへの飛躍も期待される。ただ、今は「目の前の舞台に全身で取り組むだけ」。その先の夢は言葉にせず胸にしまう。千葉県出身。 (稲熊均)

 

2020年3月13日・東京新聞

歴代受賞者

第1回 吉田 都さん 第2回 下村 由理恵さん
第3回 酒井 はなさん 第4回 小嶋 直也さん
第5回 宮内 真理子さん 第6回 志賀 三佐枝さん
第7回 佐々木 大さん 第8回 上野 水香さん
第9回 山本 隆之さん 第10回 島田 衣子さん
第11回 川野 眞子さん 第12回 平山 素子さん
第13回 島添 亮子さん 第14回 齊藤 拓さん
第15回 寺島 ひろみさん 第16回 永橋 あゆみさん
第17回 福岡 雄大さん 第18回 青山 季可さん
第19回 瀬島 五月さん 第20回 米沢 唯さん
第21回 米沢 麻佑子さん 第22回 奥村 康祐さん
第23回 碓氷 悠太さん 第24回 井澤 駿さん
第25回 木原 浩太さん 第26回 木村 優里さん