日本舞踊新鋭賞
東京新聞は、日本舞踊界の一層の発展に資するため「日本舞踊新鋭賞」を制定します。
対象は日本舞踊の伝統を正しく継承し、次代を担うと期待される新進の若手舞踊家です。東京新聞が指定する舞踊関係者から候補者の推薦を受け、東京新聞が指名する選考委員と東京新聞関係者による選考会で決定します。
毎春、受賞者を決定、紙面で発表し、六月に行われる舞踊芸術賞表彰式の席上で表彰します。賞状・賞牌のほかに副賞として十万円を贈呈します。
第3回 西川 扇左衛門さんが受賞
歴代受賞者
日本舞踊の伝統を正しく継承し、次代を担うことが期待される若手舞踊家を顕彰する本紙制定の「第三回日本舞踊新鋭賞」の受賞者に、西川扇左衛門(44)=写真=が選ばれた。
扇左衛門は東京都出身で、三歳で初舞台。大学卒業後に、人間国宝で西川流十世宗家の西川扇蔵のもとで内弟子として修業を積んだ。二〇〇四年に名取、〇七年に師範となった。一九年、日本舞踊協会主催の各流派合同新春舞踊大会で会長賞を受賞した。
日本舞踊新鋭賞は、舞踊評論家の阿部さとみ、龍居(たつい)竹之介、濱口久仁子の三氏と、本紙の稲熊均事業局長が選考。扇左衛門について、多くの古典作品に関する技術の習得を堅実に進めた成果を近年著しく示すとともに、現代に生きる舞踊技術のありようを深く追求する前向きな姿勢もあり、「次代の日本舞踊界を担う有力な一人」として評価された。
2020年3月13日・東京新聞
受賞者インタビュー

「同世代で、もっと活躍されている方がいるので、正直びっくりしました」と謙虚に喜ぶ。
3歳で初舞台を踏み、師匠で人間国宝の西川流十世宗家西川扇藏(せんぞう)は伯父という血筋。「日舞エリート」に見えるが、「幼稚園からサッカーに夢中になって中学で踊りを中断したんです」。全国高校サッカー選手権大会東京都代表にもなり、プロを目指した時期もあった。
大学卒業を控え、いざ就職を目前にすると、日舞の血が騒いだ。扇藏の息子・五代目西川箕乃助(みのすけ)から「一緒にやってくれると心強い」と秋波を送られ決心した。内弟子時代は、修業の空白分だけ同世代に後れをとりつつも、ひたすら技を磨いた。
海外公演も経験し、数々の受賞で若手師範として流派を超えて活躍する。「達者な人は扇子を落としても絵になる。見た人がすがすがしい気持ちになるような踊りができたら」と高みを目指す。
気が休まるのは4歳の長男と遊ぶとき。初舞台を終えた息子には「踊りはひとつの選択肢」と自身の幼少期と重ねつつ成長を願う。 (安藤篤人)
2020年3月20日・東京新聞
歴代受賞者
第1回 | 井上 安寿子さん | 第2回 | 花柳 幸舞音さん |
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第3回 | 西川 扇左衛門さん |
日本舞踊奨励賞(日本舞踊新鋭賞の前身) 歴代受賞者
第1回 | 坂東 三津二郎さん | 第2回 | 若柳 吉金吾さん |
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第3回 | 花柳 錦吾さん | 第4回 | 井上 かづ子・井上 政枝さん |
第5回 | 吾妻 節穂さん | 第6回 | 松本 幸龍さん |
第7回 | 坂東 百々三さん | 第8回 | 西川 扇二郎さん |
第9回 | 泉 翔蓉さん |