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【工場けんがく! 北関東ものづくり探訪】

納豆の魅力 内外へ発信 タカノフーズ(茨城県小美玉市)

納豆パックにおなじみの朱色の包装が施される最後の工程を見学。「明日にはお店に並んでいるかもしれません」と案内人が説明する=茨城県小美玉市で

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 満面笑顔のおかめの看板が出迎えてくれた。茨城県といえば、やっぱり納豆でしょ−ということで、「おかめ納豆」でおなじみ、納豆業界最大手のタカノフーズの本社を訪ねた。

 納豆博物館に集合してから、隣接する水戸第一工場へ。タカノフーズの全国の工場の半分にあたる、一日約二百万パックもの生産を担う主力工場だ。

 煮豆の香ばしい香りに包まれる。「納豆の原料は大豆。厳選して洗浄し、水に浸してから、蒸す。これはそのにおいです」。案内人の浜口紗代子さん(24)の説明が始まる。

 スリッパに履き替えて見学者用通路へ。パック詰めの工程では、白いパックがコンベヤーに乗って流れていく。煮豆が筒から落ちてきて、五十グラムずつ盛り込まれる。ただの煮豆じゃない。納豆の源、納豆菌をスプレーされた煮豆。上にビニールの膜を張り、からしとたれの小袋を投入し、ふたを閉じる。この間、あっという間だ。

 起源は諸説あるが、稲作が始まった縄文時代、わらに入れた煮豆から偶然生まれたといわれる納豆。明治時代に納豆菌が発見され、量産が可能になった。

 途中、中身不足などのパックがはじかれている。「私ども『ダメ出し君』と呼んでます」と浜口さん。

 無事通過したパックの山は、隣の「室(むろ)」と呼ばれるサウナ状態の発酵室に移される。いよいよ、ネバネバの納豆への変身!

 「室は秘密が詰まったところ。従業員も限られた人しか入れません」と自慢げの浜口さん。「ここで納豆クイズ」とパネルを掲げた。質問は「一パック一万〜五万匹の納豆菌が、室で何匹にまで増えるか」。正解は−。「納豆ってすごい」と敬意を表する。

 この後、冷蔵庫で熟成され、おいしい状態で「冬眠」後、包装されて出荷。全三〜四日間の工程だ。

 「東日本大震災のとき、お店からなくなってしまいましたね」と、千葉県我孫子市から見学に来た自営業三浦和良さん(57)、京子さん(55)夫妻。震災時の停電で製造中の全ての納豆を大量廃棄した上、資材も届かず、本格的な出荷再開までには約一カ月を要した。

 最後は試食。「やはり納豆は欠かせません」と笑顔の三浦夫妻。お土産に納豆ふりかけをいただく。

 昨年度の見学者数は一万六千人で過去最多となった。追い風は、近くに三年前に開港した茨城空港。セットでの観光が増えている。「日本が誇る伝統的健康食品」の国内外へのアピールにも力が入る。もちろん、粘り強く。(増田恵美子)

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◆メモ

 タカノフーズ水戸第一工場 小美玉市野田1542。JR常磐線石岡駅からタクシーで約30分。車で北関東道から東関東道経由で茨城空港北インターから約15分。常磐道は千代田石岡インターから約30分。

 第一工場は約250人が働く。1982年の創設時から、ガラス越しに場内が見渡せる見学者用通路を設けている。96年から一般の人を受け付けている。工場見学はビデオ上映、試食含め所要約70分。要予約。主に午前10時からと午後1時半から。本社内の納豆博物館も見学できる。館内には工場直売品や限定グッズの店もある。予約・問い合わせはフリーダイヤル=(0120)587010=へ。

 

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