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【工場けんがく! 北関東ものづくり探訪】

見た後の試飲も楽しみ キリンビール取手工場(茨城県取手市)

国内最大級という銅製のビールの仕込み釜=茨城県取手市で

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 茨城、千葉の県境を流れる利根川近くの広大な敷地にキリンビール取手工場(茨城県取手市桑原)はある。その広さは東京ドーム約五・五個分にあたる約二十六万平方メートル。

 一九七〇年に操業を開始し、定番の「ラガービール」や「一番搾り生ビール」、発泡酒、チューハイを生産している。その量は三百五十ミリリットル缶に換算すると、一日あたり約五百七十万本にもなる。製品は関東一円に出荷している。

 この場所は、ビールづくりに必要な大量の水を利根川水系の小貝川から取り入れることができ、輸送に使うJR常磐線に近いことから選ばれた。今の輸送はトラックに代わっている。

 ビールの見学ツアーは、主原料である麦芽やホップ、水からビールを製造し、出荷するまでの工程を紹介している。

 見どころの一つは、「麦汁(ばくじゅう)」をつくるため原料を煮込む直径七・五メートル、高さ二十メートルの巨大な銅製の仕込み釜だ。最新のステンレス製の釜の導入に伴い、二〇〇七年で役目は終えたが、現存する銅製の仕込み釜としては国内最大級という。

 最初に流れ出てくるのは一番搾り麦汁。その後にお湯を加えて洗い出した物を二番搾り麦汁という。一般的に両方を混ぜてビールにしているが「一番搾り生ビール」は前者のみ使用。

 これらの麦汁を希望者は試飲できる(一部の日を除く)。まだアルコールは含まれておらず、口の中に運ぶと、まろやかな甘みと苦みが入り交じった独特の風味が広がる。案内係の安部智子さん(33)は「煮込むことで麦の甘みが出てくるんですよ。ほんのり苦いのはホップが入っているからです」と教えてくれた。

 麦汁にビール酵母を加えて、敷地内の発酵、貯蔵用のタンクで二カ月ほど寝かす。アルコールや二酸化炭素が発生し、ビール特有の風味が生まれる。タンクは合わせて百三十九本あり、最も大きいものは直径七・六メートル、高さ十八メートル。できあがったビールは缶や瓶に詰められ、トラックで小売店などに出荷される。

 見学最後に試飲コーナーで、つくりたてのビールをグラス三杯まで味わえる。気温が上昇し、ビールがよりおいしく感じられる春から夏にかけ、多くの見学者でにぎわう。ドライバーや子ども向けにソフトドリンクも用意されている。

 土産品の販売コーナーでは、ビールで作ったゼリーを詰めた大人向けのチョコレート(二十個入り、七百五十円)が人気を集めている。(松尾博史)

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◆メモ

 キリンビール取手工場 見学の所要時間は試飲を含めて約1時間10分。無料で、年齢制限はない(電話、インターネットによる予約制)。工場の稼働状況によっては製造工程を映像で紹介する場合がある。常磐自動車道谷和原インターチェンジから車で約30分。JR常磐線・関東鉄道常総線取手駅から徒歩約20分。月曜、年末年始は休み(5月6日まで無休、5月7日は休み)。予約・問い合わせは工場内の「キリンビアパーク取手」=電0297(72)8300=へ。

 

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