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【北関東の底力】

市民みんなでおもてなし

高崎駅に設置されたタッチパネル式の観光情報案内板。英語や中国語、韓国語にも対応できる。左は、井上ティナさん=群馬県高崎市

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◆群馬県高崎市の観光大使

 「天日干しでゆっくり乾燥するせいか、お米が甘く感じます」

 介護士の上野和泉さん(37)は昨年十月、インターネットの地域情報サイト「ぐるたび」に投稿し、地元の群馬県高崎市倉渕町で作られる「はんでえ米」を紹介した。

 結婚して五年前に引っ越してきた。「お米がおいしい」と感じた。稲の天日干しと、山地特有の寒暖差で育まれるうま味と粘りが特長という。「倉渕は水、野菜もおいしい。そんな魅力を知ってほしい」と市が昨夏始めたプロジェクト「市民みんなが観光大使」に手を挙げた。

 小学生と保育園児の子ども三人を抱え、母親目線でコメントも書き込む。

 観光大使になって「住んでいるところをよく知らないと、おもてなしはできないと感じた。もっと勉強したい」と自分なりに使命感も芽生えたという。

      ◇

 インターネットで「高崎発」の情報発信を担う市認定の観光大使は八百三十人。その顔触れは多彩だ。

 ラジオ局勤務の井上ティナさん(53)は台湾出身で高崎に住んで二十八年目。JR高崎駅に昨秋設置されたタッチパネル式の観光情報案内板にも、井上さんら市内在住の外国人の助言が生かされている。「高崎は第二のふるさと。困っている人がいたら、通訳などで役に立ちたい」と外国人のおもてなしに積極的だ。

 国府地域の伝統野菜「国分にんじん」など地元の話題を中心に投稿しているのは、老舗食堂の五代目店主松岡秀樹さん(47)。国分にんじんをペーストにして練り込んだうどん作りにも挑戦するという。「情報を発信して、知ってもらうことがおもてなしの一歩」と大使に応募した。

 ITコンサルタント奥田美和さん(39)は夫の転勤で引っ越しが多く、昨年から埼玉県本庄市。「大宮に行くより近い」と高崎をよく訪れる。夫が転勤族の妻たちのネットワーク「転妻(てんつま)広報大使」も主宰し、最近は「チーム群馬」を立ち上げた。「知名度は低いが、高崎のブームはこれから。気合を入れて応援する」と意欲的だ。

 陶器メーカーの東京勤務が長かった高崎市在住の松田勉さん(61)は、外食産業も詳しい。「観光客のリピーターを増やすには『これぞ上州』という独自性が必要。東京にない面白い店を掘り起こしたい」とご当地グルメの発信にもこだわりをみせる。

 春は北陸新幹線の金沢延伸、二〇二〇年には東京五輪を控え、観光客の増加が予想される。市観光課は「高崎の隠れた魅力を発信していただきたい」と観光大使の役割に期待する。(大沢令)

<市民みんなが観光大使> 高崎市が昨年始めたプロジェクト。500人を公募し、応募した全員が「高崎観光大使」に認定された。外国人のほか、県外組もいる。パソコンや携帯端末からインターネットの地域情報サイト「ぐるたび」に月1回以上、おすすめスポットや路地裏の名店など市内の魅力を投稿する。

 

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