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【第89回全国高校野球選手権大会(2007)・群馬】

<熱球譜>伊勢崎工(3年)藤井卓也主将 『遺言守った』亡き父に報告

2007年7月19日

9回表、中犠飛の間に三塁から生還する伊勢崎工の藤井主将=高崎城南球場で

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 「ヒットを打たせてくれ」

 亡き父を思い、胸のお守りに入れた遺髪を触った。4点を追う九回、先頭打者として打席に入る前に、伊勢崎工の藤井卓也主将(三年)は、そう祈った。ショートへのゴロはヘッドスライディングで、ぎりぎりセーフ。盗塁などで進塁し、中犠飛の間に生還。1点を返し、意地をみせた。

 四月初め、肺がんで父を亡くした。四十七歳だった。昨年八月から続いた闘病生活。秋の大会には入院中にもかかわらず、外泊許可を得てスタンドへ駆け付けた父。母美枝子さん(48)によると、主治医に「夏までもたせてくれ。夏の大会を見たい」と繰り返していたという。

 藤井主将は1、2回戦と勝ち進むたび、仏前に報告。今朝も「チームに貢献できるように」と線香を手向けた。「亡くなって初めて存在の大きさを知った。もっと親孝行しておけばよかった」とつぶやく。

 死期を悟った父は三月下旬、病院で「どんなときにも下を向くな」とアドバイスしたという。試合直後こそグラウンドで涙したが、しっかりした口調で「少しは親孝行できたかな」と藤井主将。仏前には「遺言は守ったよ」と報告するつもりだ。 (石井友恵)

 

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