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【第89回全国高校野球選手権大会(2007)・茨城】

<熱球譜>那珂高3年鈴木翼投手 復活の舞台 悔やむ一球

2007年7月8日

力投した那珂の主戦・鈴木投手

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 唯一の失投だった。四回の先頭打者、大子清流・仲野裕二選手に投じた初球が真ん中高めに甘く入った。「外角を狙ったボールがすうっと内側に入ってしまった」。打球はレフトスタンドへ。立ち上がりから球は走り、調子は悪くなかっただけに悔やまれる一球になった。

 “リベンジ”を期した試合だった。昨春、腰を痛めて一年間を棒に振った。「早く投げたいと思ったけれど、あせらず治すことに専念した」。ボールを使った仲間の練習を横目にランニングと筋トレに励んだ。

 迎えた夏の今大会。舞台は復活を期すには最高のマウンド。直球はいつも以上に走り、強気に内角を攻めた。投球を受けた捕手の瀬谷恭平主将も「(球は)いつも以上に来ていた」と手応えを感じていた。試合後、武藤一歩監督は「鈴木はよく投げた」とたたえた。

 腰をかばった反動か、半月ほど前から左足付け根に違和感をおぼえた。病院に行くようにと家族に言われたが「大丈夫だと思った」。あこがれのマウンドを目の前に引き下がれない。試合中盤、何度も左足に手を当てて気力でカバーした。

 味方チームは、走者をためながらあと一本が出ない。自らも六回二死満塁の好機で凡退。「チャンスで打てなかった自分が悪い」と自身を責めた。

 最終回。ベンチ脇で投球練習を始めた。「(最終打者の)瀬谷を信じていました。次の守備しか考えていませんでした。もっと、投げたかった…」。気丈なエースは最後まで涙を見せなかった。 (沢田佳孝)

 

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