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【第91回全国高校野球選手権大会(2009)・西東京】

<熱球譜>自分信じて全力投球 都狛江 原田 祐貴投手(3年)

2009年7月27日

都日野に6回コールドで敗れ、小林捕手(左)に支えられながら引き揚げる都狛江の原田投手(中)=神宮第二球場で

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 7点差の五回、都狛江(狛江市)の原田祐貴投手(3年)は4番手で登板した。いきなり4死球を出し、ストライクが入ると痛打された。それでも全力投球を続けた。そして、ついに三振を奪った。「よっしゃー」と思わずガッツポーズ。さらに後続も三振と右飛球に仕留めた。

 昨夏の大会の救援で成功し、次期主戦として大きな期待を寄せられていた。チームを引っ張っていかなければとの思いから昨秋、制球を良くするためフォームの改良を試みたがバランスを崩した。

 投げ方まで見失い、今春突然、腕が固まり「自分の体じゃない」ような感覚に襲われた。ストライクがまったく入らず、マウンドに恐怖を感じた。

 スポーツの世界では、精神的な原因で本来の能力が発揮できなくなる「イップス」と呼ばれる症状が知られている。原田君もそれに似ていた。毎日、100球以上投げ込み、がむしゃらに練習したが回復の兆しはなかった。

 その姿を部員たちは見ていた。同校のベンチ入りは部員の投票で決めるが、全員が「背番号1」に原田君を選んだ。「今の状態を素直に受け入れ、自分を信じて全力投球するだけ」。そんな思いが、連続三振につながったのかもしれない。

 3年間で「野球の厳しさ、楽しさ、怖さを知った」という原田君は試合後、泣きじゃくり、仲間に「本当にありがとう」と伝えた。 

  (西川正志)

 

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