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【第91回全国高校野球選手権大会(2009)・栃木】

<熱球譜>きょうが最高の投球 栃木工3年 中田智暁投手

2009年7月23日

サヨナラ打を打たれ、悔しそうに打球の行方を見つめる中田投手

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 右翼手の頭上を飛んでいく打球を、ぼうぜんと見つめていた。最後の夏が、終わった。

 作新戦は今大会の天王山。最速144キロを誇る直球は対策を練ってくるはず。変化球を多く織り交ぜた配球で臨んだ。中1日、調子は良かった。キレのあるスライダーが要所で光る。作新の強打者・松崎啄也捕手(三年)も九回まで1安打に抑えていた。1点リードの後、勝利まであとストライク一つと迫った場面。外角へのスライダーが「ボール1個分、甘く入ってしまった」。同点三塁打。延長十回、再び甘く入ったスライダーをたたかれた。

 県内屈指のエースとの呼び声は、過去の苦い経験がなければ存在しなかった。地肩の強さに加え、柔軟な上半身と体重移動のうまさから繰り出す速球は天性のもの。それゆえ昨秋と今春は力任せの投球が目立ち、負けた。教訓を生かし、上体だけで投げる悪い癖を直し、制球に一層の磨きをかけてきた。

 一回り成長した自分を実感できたからこそ「この試合が一番いいピッチングだった」と気丈に言えたのかもしれない。4試合で387球、30奪三振、失点わずか2。今大会を代表する背番号1が球場を去った。 (宇田薫)

 

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