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【第93回全国高校野球選手権大会(2011)・東東京】

<熱球譜>不完全燃焼 巻き返し誓う 二松学舎大付2年 鈴木誠也投手

力投する二松学舎大付の鈴木投手

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 「行かないでくれ」。祈るような気持ちで振り返ったが、ボールはまっすぐに左翼席に吸い込まれた。満塁本塁打。ぼうぜんと立ち尽くした後、気を取り直すようにマウンドのロージンバッグに手をやったが、そのまま交代を告げられた。この夏最後の一球は、ほろ苦いものとなった。

 四回裏、2死満塁のピンチは味方の好守で切り抜けた。しかし五回裏、再び2死満塁のピンチを迎えた。打席には4番小野寺選手(三年)。5回戦で本塁打を放った強打者だと知っていた。「腕を振らなきゃダメだ」。その意識が力みにつながり、少し抜けた高めの直球をスタンドに運ばれた。

 大会屈指の本格派右腕と注目されたが、四月の練習試合で右太もも内側に肉離れのけがをした。この試合の前日にも病院で痛みを取る治療を受け、テーピングをして登板。しかし、最速148キロの直球は130キロほどにしか届かなかった。市原勝人監督は「本当はこの程度のボールの子じゃない」とかばったが、本人は「痛みは理由にならない。現時点が自分の実力」と言い訳にしなかった。

 チームは夏の大会で過去九度、決勝に進出しながらいずれも敗退している。「十度目の正直」を目指した今大会だったが、決勝の舞台にたどり着けなかった。「大会前にけがをしたということは、日ごろの生活からきている。そこを直したい。甲子園に行って、先輩たちに恩返しをしたい」。不完全燃焼のエースは悔しさをかみ殺し、巻き返しを誓った。 (佐藤大)

 

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