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【第93回全国高校野球選手権大会(2011)・神奈川】

<熱球譜>「1」に憧れ 重ねた努力 市川崎・伊東篤投手(3年)

力投する市川崎の伊東篤投手=横浜市戸塚区の俣野・横浜薬大スタジアムで

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 背番号1は試合で一番冷静なものの証し−。エースナンバーに憧れた、そんな思いを胸に秘め、最初で最後の夏のマウンドに立った。

 その才能の片りんを見せたのは、二回裏に1点を先制して迎えた三回表。1死一、二塁とピンチを迎えたが、ポーカーフェースは崩さなかった。一塁側をちらりと見て、すぐさまけん制。一塁走者を刺し、この回を無得点で切り抜けた。「リードが少し大きく、集中力が欠けている」と感じ取ったという。

 今でこそエースだが、今春まで、背番号1を背負っていたのは、二年の中山貴矢投手だった。「制球力がなく、スピードも出ない」「力不足」など、藤田龍清監督の評価は散々だった。

 「屈辱だった」と、当時を振り返る。「自分の代のエースは俺が背負う」の一念でトレーニングに励んだ。

 凡打の山を築く、打たせて取る投手になろうと目標を定め、生命線の制球力を磨くため、とにかく走り込んだ。冬場には50メートルダッシュに加え、90キロのバーベルを背負ってスクワットを行うなど、徹底的に下半身を鍛えた。

 やっとつかんだエースの座。誇りを持って臨んだマウンドだったが、六回に勝ち越されて降板。そのまま4−5の敗戦。背番号1の夏はあまりに短かった。

 悔しさで涙が止まらなかった。「大学に進学しても野球は続けます」。赤く腫らした目で必死に前を向いた。 (酒井博章)

 

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