東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 高校野球大会・首都圏 > 93回大会 > 神奈川 > 記事一覧 > 記事

ここから本文

【第93回全国高校野球選手権大会(2011)・神奈川】

<熱球譜>「うれしかった」 最後の打席 川崎北・田辺裕一主将(3年)

9回裏の攻撃をベンチから見守る田辺主将=大和市の大和引地台球場で

写真

 第4戦の相手は、春に敗れた川崎工科。眼帯を外し、気合を入れて試合を見守ったが、チームは劣勢に立たされていた。6点差で迎えた八回裏、佐相真澄監督から代打に指名された。

 高校通算本塁打は、一九七六年の野球部創部以来、チーム歴代1位の32本。文句なしの4番打者で精神的支柱のキャプテンは今大会初打席へ。

 網膜剥離の左目の視界は真っ暗だったが、「思い切り行け」との監督の指示に、悔いのないよう、無我夢中でバットを振った。3球三振。全球、強振してみせた。

 肩と腰を痛め、一年生の冬に投手から打者に転向。わずかな期間で強打者に育ててくれた監督への恩返しがしたかった。「打席に立てた。すごくうれしかった」。顔をほころばせ、監督の心遣いに感謝した。

 網膜剥離の重傷を負ったのは六月。バントの練習中にボールが顔面を直撃した。左目の下を骨折し、医師から「野球禁止」を宣告された。「何でこんな時に」。悔しさと、チームの仲間たちへの申し訳なさでいっぱいだった。

 今大会はベンチからの応援。暗い顔をしていると、チームのムードを壊してしまう。努めて明るく、大きな声を出した。それでも無念を抑えきれず、夜になって一人、悔し涙を流したこともあったという。

 近いうちに病院で検査し、手術を受ける予定だ。大好きな野球を続けるために。 (平木友見子)

 

この記事を印刷する

PR情報

最新の記事

記事一覧