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【第93回全国高校野球選手権大会(2011)・神奈川】

<熱球譜>「幸太」と共に戦った夏 法政二・笠原康平選手(3年)

7回表、ライト前ヒットを放つ法政二の笠原選手=横浜市の横浜スタジアムで

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 試合終了後、涙が止まらず、スタンドに向けて深く下げた頭を、しばらく上げることができなかった。「こいつの分まで野球を頑張ろうと、一緒に戦ってきたのに…」。背中を震わせ、「石井幸太」と大きく書かれた野球帽のつばを固く握りしめていた。

 石井君は中学三年の夏に直腸がんでこの世を去った友達。中学生のとき、横浜金沢シニアで一緒に全国選抜大会に出場した仲間だった。石井君が守っていた左翼と、自分の守る三塁が近かったため、よく声を掛け合い、励まし合った。「一緒に戦い、思い切り楽しもう」。防水加工した小さな石井君の写真を帽子に挟み、試合に臨んできた。三年の春、一度はレギュラーから外れたが、石井君と最後の夏を戦いたくて、必死に練習に打ち込み、再び一塁手のポジションを勝ち取った。

 母校の法政二高は14年ぶりの準々決勝進出。春の大会で敗れた桐光学園に、今回は応援席からではなく、グラウンドから挑む機会を得た。同じチームに再び甲子園への行く手を阻まれる結果になったが、後悔はない。ただ、苦しさを乗り越えて最後まで戦えた喜びや、寂しさなどが入り混じり、涙があふれ出た。

 「いろいろありすぎて、あっという間の3年間だった」と振り返る。「二年生のレギュラーが多いチームだから、来年こそもっと上まで行ってほしい」と後輩たちにエールを送った。最後は笑顔だった。 (平木友見子)

 

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