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【第93回全国高校野球選手権大会(2011)・埼玉】

<熱球譜>福島・双葉の思い背負って

好守備でチームに貢献した鎌田尚幸三塁手=市営浦和球場で

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◆川越西3年 鎌田尚幸三塁手

 福島第一原発事故を受け、福島県立双葉高校野球部から埼玉の高校に転入した球児2人が十二日、それぞれのチームでスタメン出場した。川越西の鎌田尚幸三塁手(三年)と浦和東の猪狩優樹捕手(二年)。埼玉に来て3カ月弱、チームの中心的存在になった2人が躍動した。

 三月十一日、双葉高グラウンドで練習中の2人を大きな揺れが襲った。ともに実家は原発から20キロ圏内。それぞれ家族と避難所を転々とし、親戚を頼って埼玉へ移ってきた。

 「野球がしたい」。先行きの見えない生活の中でも、鎌田選手の頭から野球が離れることはなかった。四月に自宅が決まると複数の高校を訪れ、「野球部の雰囲気が一番良かった」と川越西へ転入を決めた。部では「かま」と呼ばれ、すぐになじんだ。

声を張り上げ、チームを盛り上げる猪狩優樹捕手=市営大宮球場で

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◆浦和東2年 猪狩 優樹捕手

 猪狩選手は、野球を続けるかどうか悩んだ。「バイトをした方がいいんじゃないか」。母ひとみさん(51)に相談すると、「何言ってるの」と一蹴された。四月下旬に浦和東に転入し、その日に入部届を出した。

 鎌田選手は守備と走塁でチームの今季公式戦初勝利に貢献。筒井一成監督は「ラッキーボーイ」と目を細めた。猪狩選手は4番に抜てきされ、二塁打を放つなど活躍したが、チームは惜敗した。

 「先輩にはみんなの分まで頑張ってほしい」。散り散りになった双葉高ナインの思いを託した猪狩選手。この言葉を伝え聞いた鎌田選手は「双葉でやって来たことを胸に頂点を目指したい」。「挑戦 感謝 犠牲心」という双葉高野球部の部訓がにじむ帽子のつばを見つめ、甲子園出場を誓った。 (増田紗苗)

 

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