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【第93回全国高校野球選手権大会(2011)・栃木】

<熱球譜>震災…たどり着いた「夏」 小田 龍之介主将(那須海城3年)

相手校の校歌を聞きながら、これまでの道のりを思い返す那須海城・小田主将=鹿沼球場で

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 1−16の五回コールド。相手校の校歌が球場に響いても涙は見せず、この日までの道のりを静かに思い返していた。

 エースとして臨んだ昨秋の県大会初戦で大敗した悔しさを胸に、冬場は走り込みをして下半身を強化。シャドーピッチングを繰り返し、投球フォームも固まってきた。「いい球を投げるようになった。夏が楽しみだ」。黒田純一監督がそう思い始めた三月、震災が起きた。

 校舎の天井は崩れ落ち、部活は休止に。そんな時、受験勉強などを理由に三年生数人が部を去ろうとした。引き留めたが、4人が辞め、三年生は3人だけになった。五月以降は、生徒全員が東京の姉妹校で授業を続けることに。練習は近くの廃中学校で週1、2回だけ。グラウンドが狭い上にバックネットも低く、できる練習は限られた。

 こうして挑んだ初戦。力み過ぎて制球が定まらない。打者36人に対し、与えた四死球は17。それでもベンチや野手に励まされ、1人で投げきった。

 試合後、小田主将に引き留められて部に残った阿久根康平選手は「最後の大会に出られてうれしかった。続けて良かった」。インタビューの途中まで気丈にふるまっていた小田主将も最後は目に涙をため「震災後、心が折れそうになったけど、みんなに支えられてここまで来られた」と感謝の言葉を口にした。 (石井紀代美)

 

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