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【第93回全国高校野球選手権大会(2011)・栃木】

<熱球譜>エース声援 最後まで 塚田貴之投手 白鴎大足利3年

必死の形相でベンチから声を出して、仲間を鼓舞する塚田投手=県営球場で

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 0−4とリードされて迎えた七回表、2死二塁のピンチ。タイムを取ると、周りに野手が集まった。「顔がこわばってるぞ。笑えよ」。その言葉に肩の力がスッと抜け、打者を三振に仕留めてピンチを切り抜けた。

 一年生の時から腰痛で満足な練習ができなかった。昨夏は、エースとして活躍する同級生の背中をベンチから見守った。腰回りの筋力を強化し、エースの座を勝ち取って挑んだ今大会、ようやく夏のマウンドに立つことができた。

 その気負いがあったのかもしれない。この日は、藤田慎二監督が「序盤から良くなかった」と言うように、最速143キロの直球も得意のスライダーも思うように決まらない。七回裏代打を送られ、マウンドを仲間に託した。

 6点差を追う八回裏、ようやく打線がつながりだした。バットが快音を響かせるたびに、「負けたくない、甲子園に行きたい」とベンチから必死に声を送った。

 しかしその願いはかなわなかった。「もう一回、あのマウンドに登りたかった」。忘れ物をしたかのような顔をして、つばの裏に「自分なりに、がむしゃらに」と書かれた帽子を握りしめた。 (石井紀代美)

 

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