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【第94回全国高校野球選手権大会(2012)・西東京】

<熱球譜>敗戦…笑顔で「胸を張れ」 川原 大輝主将(国士舘3年)

9回表 国士舘1死満塁、笠井選手の右前適時打で生還し次打者山森選手(右)と喜び合う川原主将

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 九回に追いつく流れをつくる魂の一打だった。たたきつけた打球はしぶとくセンター前に抜ける。一塁に走りながらベンチに向けて右こぶしを何度も突き上げた。「最高の舞台で、これまでで一番のバッティングができた」。後続の適時打で同点のホームを踏み、仲間と抱き合う。

 打球にグラブをはじかれて中押しを許した五回の守り。捕れる当たりと思えただけに、両手を腰に当てて肩を落としたが、すぐに笑顔をつくる。「主将が落ち込む暇はない」との責任感からだ。

 サヨナラ負けの直前、内野陣を集めて帽子のつばの裏を見せた。ベンチ入りできなかった部員も含め、三年生29人全員の名前をびっしり書き込んでいた。「甲子園に連れて行く」と約束した仲間たち。スタンドを指し「みんながついてる」。団結の輪は、同心円となってスタンドも包む。だが、夏を終わらせる打球は無情に横を抜けていった。

 敗戦が決まって泣き崩れるチームメートたちに、笑顔で「胸を張れ!」と声をかけた。「最高の仲間と野球ができた」という達成感はある。「まだまだ一緒にやりたかった」。こう話した時だけ、声を詰まらせた。 (大平樹)

 

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