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【第94回全国高校野球選手権大会(2012)・栃木】

<熱球譜>6年の信頼でリード 足利工3年 塚越敏喜選手

ピンチでマウンドに駆け寄った後、守備位置に戻る塚越選手

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 初球で何を投げたいのか、分かっていた。五回1死二、三塁のピンチでリリーフ登板した椎名一輝投手(三年)へサインを送ると、深くうなずいた。中学時代からバッテリーを組んできた間柄に言葉は必要なかった。

 足利西中時代から、椎名投手の切れのある直球を受けるのが好きだった。当時の最高成績は足利市内の大会で準優勝。同じ高校に進学すると知った時、「今度は一緒に甲子園へ」と夢が膨らんだ。

 先にベンチ入りしたのは椎名投手。一年生から練習試合などで投げる姿に「将来は俺が受けるんだ」と心に誓った。投球を見守りながら、頭の中で配球を考えることもあった。

 「投手が投げたい球通りにサインが出せれば気持ちの乗ったいい球が来る」。これまで通りそう信じて強豪相手にマスクをかぶった。初球で要求したのは椎名投手の持ち味を生かしたインコースの直球。気迫のこもった球で打者を詰まらせ、一塁ゴロに打ち取った。

 しかし、七回に突如制球が乱れ、5点を奪われコールド負け。ミットを構えた場所に球は来なかった。それでも、6年にわたって築いてきた信頼は厚かった。この日、相棒は要求したサインに一度も首を振らなかった。 (石井紀代美)

 

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