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【第94回全国高校野球選手権大会(2012)・栃木】

<熱球譜>「ライバル」いたから成長 宇都宮工3年 尾島孝秋投手

優勝にあと一歩届かず、涙を見せる尾島投手(中)。今大会は星投手(右)とほとんど2人で投げ抜いた

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 予想より早い交代だった。無失点ながらも、三回表1死の場面で四球を出したところで、監督が動いた。「ごめん」。そう言って、エースの星知弥投手に引き継いだ。

 先発で出場し、温存したエースにつなぐ。そんな二枚看板の継投が宇工の必勝パターンだった。決勝も当然、1番手でマウンドに登った。

 制球の良さと変化球には自信がある。強力な相手打線を抑えようと、いつもより内角の際どい場所を攻めた。しかし安打を浴び、珍しく四球も与えた。打たれて焦ってしまっていた。

 交代後のベンチでは星投手を信頼して見守ったが、六回に集中打を浴びて逆転された。「これまでの連投もあり、疲れが見えてきていた。もう少し自分が投げられていたら」

 投手としての実力と自信がついたのは、この春。県大会の決勝で作新に投げ勝って以来だった。それまでは「はるか先にいる」と感じていた仲間であり、ライバルの星投手の背中を追いかけてきた。一緒に練習し、ひじの使い方を見て技術を「盗んだ」こともあった。「一緒に野球ができなければ、自分はここまで成長できなかった」

 試合終了後、マウンドにできた相手チームの歓喜の輪を見て、汗と一緒に涙をぬぐった。横で目を赤くしていた星投手には一言だけ、声を掛けた。「ありがとう」、と。 (内田淳二)

 

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