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【第98回全国高校野球選手権大会(2016)・西東京】

<熱球譜>最後の輝き 控え捕手に感謝 小山台3年・矢崎裕希投手

「落ち着いてやれば大丈夫」。7回表二松学舎大付、二死一、二塁、伝令でマウンドに走った吉武捕手(右)が矢崎投手(左)らに声を掛けた

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 185センチの長身から投げ下ろす速球が勢いよくミットに収まる。負けはしたが、七回から救援し、3回を無失点。最後の夏で本来の輝きを放ち、「きょうのマウンドに立てたのは吉武のおかげ」と控え捕手への感謝が真っ先に口をついた。

 一年前も、同じ神宮のマウンドに立っていた。二年生で唯一ベンチ入りし、ベスト8進出に貢献。成長を期待する声は多く、新チーム発足後も大黒柱として活躍するはずだった。

 しかし、「気弱でマイナス思考」と自称する右腕は神経質になりすぎた。課題の制球力を上げようとするあまり、ボールの握り方から見直したが考え込んで深みにはまった。

 さまざまな助言を受ける中、練習でペアだった吉武克捕手(三年)の指摘は的確だった。力んでしまう癖をしつこいほどに注意してくれたのも、強めの口調で指示してくれたのも、忘れっぽく、弱気な性格を見越してのことだった。

 エースの座こそ明け渡したが、10点差の逆転劇を演じたことでも話題になった3回戦で相手打線を8回2失点に抑え、見事復活。「我慢してやってきたのを間近で見てきたから本当にうれしい」と相棒を喜ばせ、自信を取り戻して臨んだ二松学舎大付戦だった。

 「よくやった」「ありがとう」。試合後、吉武捕手と交わした五文字の会話。3年連続のベスト8入りは叶わなかったが、この三年間で培った信頼は勝利以上の宝だ。 (加藤健太)

 

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