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【第98回全国高校野球選手権大会(2016)・埼玉】

<熱球譜>「気持ちで抑える」次こそ 市立川越2年・メンディス海投手

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 三回、連打を浴びてつい、爪の割れた左手中指に意識が向いてしまった。本来の投球ができないもどかしさもあり、打者との勝負に集中できない。結局この回だけで4失点。味方の先制が吹き飛んだ。

 4回戦で激突した優勝候補の浦和学院戦。直球と変化球を低めに集めた丁寧な投球が光った。浦学の強力打線を相手に八回を投げ、散発5安打に封じ込めた。90球を超える力投の後、中指の爪には亀裂が入っていた。

 もともと爪が割れやすい体質で、何度も経験があった。今回もしのぐ自信はあったが、試合開始前のキャッチボール中、指先に違和感が走った。見ると爪が完全に割れていた。

 「大丈夫、問題ない」。そう思っていざ投げてみたものの、直球が上ずり、低めに集められない。抜けた甘い球を次々に痛打された。苦しい投球が続き五回、四球と長打で1死二、三塁となったところでマウンドを譲った。

 試合終了と同時に目頭を押さえた。集中力を取り戻せなかったことへの反省と後悔、三年生への申し訳なさ…。いろんな感情が湧き上がり、涙が止まらなかった。

 「夏の大会は形よりも気持ちで抑えることが大切だと学んだ。精神的に強くなって、来年は絶対に甲子園に行く」。強豪・浦和学院を破る原動力となったエースはさらなる飛躍を誓い、次の夏に向けて、歩み出した。 (西川正志)

 

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