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【第98回全国高校野球選手権大会(2016)・埼玉】

<熱球譜>みんなの思い一打に 大宮東3年・河野聖也選手

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 冬からチーム全体で1日1000スイングをノルマにした。数を振るだけでなく、1本1本を真剣に振り込む。真冬でも大粒の汗が流れ、下半身は悲鳴を上げた。手のマメも何度もつぶれた。それでも「夏のために」と仲間と励まし合い、自らを追い込んだ。苦しかった冬の振り込みが、春には自信につながった。

 初回は、プレイボールの声がかかった直後の初球を迷わず振り抜き三塁打。後続の遊ゴロの間に本塁を駆け抜けた。この1年、チームのテーマだった「先制攻撃」を、鮮やかにやってのけた。

 その裏の逆転本塁打などで相手に最大5点差をつけられたが、苦しい冬を越えたバッティングが力となり、粘り強く反撃。六回にも中前打を放って2点を返す原動力となった。土壇場の九回には仲間が1死からしぶとく2点を挙げ1点差に迫る。そして迎えた最後の打席は2死ながら走者三塁、一打同点の場面。

 「やってきたことを信じろ」。ベンチも走者もそう叫んでいた。「みんなの思いを背負って、打つ」。2球目、内角の直球を振り抜いた。芯で捉えたが、打球は二塁手の守備範囲内。手から滑り込んだ一塁ベース上で祈るように塁審を見上げたが、「アウト」のコールとともにうなだれた。

 「みんなの思いを乗せた良いスイングだった」。試合後、河西竜太監督はそうねぎらった。夢は破れたが、仲間と支え合いながらつくり上げた打撃が、雨の試合でひときわ光った。 (西川正志)

 

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