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【政治】

「年金財政検証」公表遅れ 「2000万円」問題に続き火種

 公的年金制度の健全性を五年に一度チェックする財政検証の公表が遅れている。政府・与党は、公的年金以外に二千万円の蓄えが老後に必要と試算した金融庁審議会の報告書を、夏の参院選に悪影響とみて事実上、撤回したばかり。野党は、年金財政検証も公表を先送りするようなら「参院選の争点隠しだ」と批判している。  (編集委員・上坂修子)

 財政検証は、公的年金の「定期健診」に当たる。将来の人口や経済状況などの変化予測を踏まえ、おおむね百年間にわたる年金給付を試算し、制度が維持できるかを確認する。二〇〇四年の年金制度改正で、年金の給付水準は現役世代の手取り平均収入の50%を確保することが法律に明記された。少なくとも五年に一度行う財政検証で、50%を下回ることが見込まれると、保険料や給付のあり方を見直すことになる。

 今回の財政検証の結果次第で、給付水準が現行の見通しよりも下がることになれば、老後に必要な蓄えは金融庁審議会が試算した二千万円より大幅に増えることにもなりかねない。

 財政検証は〇九、一四年に行われ、今回が三度目となる。今回は、厚生労働省社会保障審議会の「年金財政における経済前提専門委員会」で一七年夏から、検証の基となる物価・賃金上昇率、積立金の運用利回りなど将来の経済前提について議論を開始した。今年三月七日の会合で、経済成長の状況に応じ六通りで試算をすることを決めた。

 一四年の前回検証では、今回とほぼ同じ三月に専門委で試算のあり方を決め、約三カ月後の六月三日に結果を公表した。〇九年も公表は専門委から約三カ月後の二月。前例にならうなら今回も既に公表されておかしくない時期に来ている。

 根本匠厚労相は十一日の記者会見で「作業が終わり次第、公表する」と話すのみで、公表時期は明示していない。厚労省年金局幹部は「前回よりオプション試算の数が多い」などと説明している。オプション試算は、本体試算とは別に、厚生年金の加入年齢(現行七十歳未満)の引き上げなど今後あり得る制度変更を考慮に入れて行うことになっている。

 国政選で関心が高い年金に関するデータの公表が遅れた先例は、一六年にもあった。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、前年度の公的年金積立金の運用実績が五兆円余の赤字となったことを参院選後に公表。例年なら参院選前の七月上旬までに公表していたため問題となった。

 今回も野党は老後二千万円問題と並べ「参院選前に不都合な真実は見せない。あまりにも党利党略が過ぎる」(立憲民主党の辻元清美国対委員長)と批判を強めている。

(東京新聞)

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