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【社会】

キャンプ名所、変わり果て 相模原・道志川 台風で壊滅、行楽の秋に大半が休業

 台風19号による土砂災害で六人が死亡、二人が行方不明となっている相模原市緑区では、山間部を流れる道志(どうし)川沿いの国内有数のキャンプ場密集地も壊滅的な被害を受けた。毎年秋の行楽シーズンは首都圏各地からの利用者でにぎわうが、現在は大半が休業したままで再開のめどは立っていない。 (曽田晋太郎)

 「まるで昨日まで一緒にいた友人を失い、さみしさも実感できないような感覚」。「野呂ロッジキャンプ場」オーナー野呂正人さん(65)は、川の増水で敷地の九割ほどが水に洗われた場内を見つめた。

 場内はあちこちが水でえぐられたり、表面の土が流出したりした。テント区画をはじめ、バンガローや重機なども濁流にのまれた。一九六三年に父が開業し、十五年ほど前に後を継いだ。これまでも台風や大雨に何度も見舞われたが、ここまでの被害は初めてだ。

 一帯には十一のキャンプ場が集まる。首都圏中央連絡自動車道(圏央道)相模原インターから西に約十二キロに立地し、例年なら今の時期は神奈川県内や東京都、埼玉県などからの客で予約がいっぱい。野呂さんは来春の営業再開を目指すというが、「どれだけの時間と費用がかかるか分からない」と途方に暮れる。

 心の支えは常連客だ。被災直後から連日、片付けなどを手伝ってくれている。年間三十回以上訪れる五十代女性は「仲間との思い出がたくさんある大切な場所。恩返しの意味も込めてお手伝いしたかった」と話す。野呂さんも「もう一度、お客さんから愛されるキャンプ場をつくらなければ」と気持ちを奮い立たせる。

 山梨県境近くの「神之川(かんのがわ)キャンプ場」では、オーナーの関戸基法(もとのり)さん(82)が亡くなった。場内を流れる道志川支流の近くに止めてあった重機を別の場所に移そうとして、流されたとみられている。

 七四年に開業し、九年前に他界した妻と二人三脚で営んできた。マネジャーを務める長女の高崎幸江(さちえ)さん(59)は「父が造り上げたキャンプ場がこんなに変わり果ててしまうなんて」と落胆。それでも「父が命を懸けてやってきたキャンプ場を閉めるわけにはいかない」と再起を誓う。

 十一のキャンプ場はいま、手を携えて再建を模索し始めた。各経営者による協議会をつくり、近く相模原市長に支援を求める予定だ。呼び掛け人の野呂さんは「この『キャンプ場銀座』がなくならないよう、手を差し伸べてほしい」と願う。

(東京新聞)

増水で土地が一段低くなるなどした野呂ロッジキャンプ場。以前は右側の中州のような所まで地面が続いていた=相模原市緑区で

増水で土地が一段低くなるなどした野呂ロッジキャンプ場。以前は右側の中州のような所まで地面が続いていた=相模原市緑区で
 

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