東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 経済 > 速報ニュース一覧 > 記事

ここから本文

【経済】

中国監視カメラに日本部品 ウイグル弾圧で米制裁対象

 中国の少数民族ウイグル族に対する大規模監視などの弾圧に関わったとして、米国が制裁対象にした中国の監視カメラ大手、杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)に、ソニーとシャープが画像センサーを供給していることが分かった。制裁違反にはならないが、日本の技術が人権侵害に使われた恐れがある。他の日本企業も制裁対象の中国企業との生産委託や共同研究が判明。企業倫理の専門家は人権意識の遅れを指摘した。

 ソニーは「人権の尊重を基本方針に定めているが、個別の取引先はコメントを控える」と回答、ウイグル族の監視に部品が使われたかどうかの確認の有無についても説明を避けた。シャープは「販売先の情報は開示していない」とした。

 共同通信がハイクビジョンの製品パンフレットなどを基に過去の発売分も含めて調べたところ、監視カメラや工業用カメラの少なくとも百八十機種にソニー製画像センサー使用と記載していた。シャープ製も工業用二機種で確認。画像センサーは監視カメラの「目」に当たる基幹部品。

 国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が入手した中国政府の内部文書でも、監視カメラを使った強制収容所の実態が明らかになった。

 ハイクビジョンは監視カメラのシェアで世界一位。一部製品は「ウイグル族の判別」機能を一時ウェブサイトに表示。英BBC放送の映像で中国のウイグル族収容所に同社の監視カメラが設置されていた。これらの機種に日本製部品が使われているかどうかは不明。

 米政府は十月、ウイグル族監視を問題視し、米国から中国のハイテク八社への禁輸措置を決定。日本からの輸出は原則、対象外。八社のうちハイクビジョンと浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)は、監視カメラを複数の日本企業ブランド名で受託生産していた。

 顔認証で知られる商湯科技(センスタイム)と自動運転で共同研究しているホンダは、現時点で見直す考えはないとコメント。日本英語検定協会(英検)は昨年、音声認識の科大訊飛(アイフライテック)と共同研究すると発表したが、共同通信に中止を明らかにした。詳細な理由の説明は避けた。

◆企業の人権意識に遅れ

<東北公益文科大の倉持一准教授(企業社会論)の話> 他国ほど人種問題が取り上げられていないこともあり、日本の企業は人権について考えてこなかった。中国新疆ウイグル自治区での弾圧に対する米制裁が人権問題だと認識できていないのではないか。欧米に比べれば、日本企業の人権意識は二十年遅れとも言われている。米国の規制には従うのだろうが、本来は企業が自主的に判断しなければならない。また日本企業はロビー活動にも消極的で、政治と距離を取ってきた。中国企業は国や党の指導下で力をつけ、政治と密接な関係にある。どう付き合っていくか、日本企業には非常に難しい存在と言える。

<ウイグル族抑圧と米制裁> 中国新疆ウイグル自治区で続くイスラム教徒の少数民族ウイグル族らに対する人権侵害への非難が国際社会で広がる中、米政府は対中圧力を強化。2019年10月には、米商務省が大規模監視などに関与したとして監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)や浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)を含む28の中国企業と政府機関への禁輸措置を決定。弾圧に関与した中国政府当局者や共産党関係者が米国に入国するためのビザ(査証)発給を制限すると発表した。

(東京新聞)

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報