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【社会】

「うなぎパイ」ネット転売が横行 製造元・春華堂の“地元愛”ないがしろに

 地元でしか買えないはずの菓子がネットで転売されている―。そんな情報が寄せられ、早速、取材を始めた。注目したのは浜松を代表する名菓、春華堂の「うなぎパイ」。浜松市以外の販売はごく限られているが、大手通販サイト「アマゾン」で堂々と売られていた。法の規制が届かず、事実上、野放し状態が続く中、メーカーの“地元愛”がないがしろにされている。(松島京太)

◆アマゾンに出品多数、公式もどきも

 「うなぎパイ12枚入り(2箱セット)3049円」「【割れ 規格外使用】徳用 うなぎパイ 1770円」。アマゾンでは、さまざまな種類のうなぎパイが出品されている。正規価格はそれぞれ千九百二十四円、八百六十四円で、二倍前後の値が付けられている。商品タイトルに「【春華堂】」と入り、一見、公式販売と見まがうものもある。

 全国的にも知名度が高い「夜のお菓子」。遠隔地のファンが「高額でも購入したい」という心理は理解できる。

◆店頭限定は「浜松を訪れるきっかけに」との地元愛から

 しかし、春華堂(浜松市中区)はうなぎパイの販売を店頭に限っており、公式通販サイトでもラインアップに入れていない。配送時に割れる不安があるのと、何より「浜松を訪れる、きっかけにしてもらいたい」という地元愛からだ。

 浜松以外では名古屋市内か、関東の一部デパートなどでしか手に入らず、ブランドイメージの向上にもつながっている。

 ネット転売の横行は同社も把握しており、担当者は「誰が販売しているのか分からず、現状ではお客さまに判断していただくしかない」と話す。

◆業者を突撃取材すると「商品の購入代行」

 出品点数が圧倒的に多い業者に二箱セットと徳用品を昨年末に注文してみた。二日後に到着したが、二箱セットを開封すると、緩衝材もなく、一番上のパイが真っ二つに割れていた。サイトでも「ボロボロになっており、商品価値半減です」などの評価が目立つ。

 業者の住所は昨年末時点で東京都足立区。訪ねると十階建てマンションで、郵便ポストには業者や、代表となっている人物の名前もない。管理人の男性は「どちらの名前にも見覚えはない。荷物を出し入れするような様子を見かけたこともない」と話す。サイトに記載された番号に電話すると男性が応対した。非正規品ではないかとの問いに「あくまでも商品の購入代行としてやっている」と回答。その後、電話はつながらなくなった。

◆アマゾン「違法性確認したら厳正に処分」

 事務所を所有せず、住所や固定電話番号をレンタルする「バーチャルオフィス」を運営する都内の企業関係者は、一般論と断った上で「地方の限定商品を転売する業者がクレームなどのリスクを避けるために利用するケースはある」と明かす。うなぎパイの場合の真相は不明だが、浜松市内の店舗でしか販売していないものもあり、市内に何らかの拠点がある可能性もある。

 アマゾンジャパン(東京)の広報担当者は「食品衛生法を含む全ての法令順守を販売事業者に義務付けており、違法行為が確認された場合は厳正な処分を行っている」としたが、今回のケースに対する具体的な見解には言及しなかった。

◆転売隠して購入すれば「詐欺罪」に該当

 コンサートなどチケットの転売は昨年六月から法規制の対象になったが、食品の転売行為は違法ではない。こうした問題に詳しい南智士弁護士は「転売の目的を秘して購入する行為は詐欺罪に該当する可能性がある」と解説する。

 「購入代行」をうたう業者が、転売することを明らかにしてパイを入手していれば問題ないが、春華堂は転売目的での購入には応じておらず、ホームページなどでも明示している。南弁護士は「通販サイトの運営責任者も転売目的を秘した購入を助長するようなら罪に問われる可能性がある」とも指摘する。

(東京新聞)

春華堂に伝えた上で購入したネット転売のうなぎパイ。届いた商品は一部が割れていた

春華堂に伝えた上で購入したネット転売のうなぎパイ。届いた商品は一部が割れていた
 

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