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【経済】

コロナショックに追い打ちかける五輪延期 アベノミクスに最大の試練

 新型コロナウイルスの感染拡大で景気が急速に落ち込む日本経済にとって、東京五輪・パラリンピックの延期は追い打ちとなる。中止こそ回避したものの、当面の五輪特需を見込んできた観光、交通、飲食業界などに広くダメージが及ぶからだ。二十五日夜、東京都の小池百合子知事は週末の不要不急の外出自粛に協力を呼びかけ、厳しさは増す見通し。政府は大型経済対策の編成でV字回復を目指すが、アベノミクスにとって最大の試練を迎えている。(渥美龍太、大島宏一郎、森本智之、皆川剛)

◆桜の季節なのに外国人の姿なく

 浅草・雷門近くの「雷門旅館」(東京)は二月下旬から新型コロナの影響で外国人客のキャンセルが相次ぎ、今はほぼゼロになった。「桜の季節で本来なら満室が続く時期」と嘆く戸部祥子代表は、五輪の延期を「状況を考えれば致し方ない」と冷静に受け止めているが、回復の兆しはみえない。

 東京ガスの内田高史社長は二十五日の記者会見で、五輪延期に触れ「ホテル業界などに数え切れないほどの影響が起きるのではないか」との見方を示した。

 第一生命経済研究所の永浜利広氏は「訪日客の宿泊費や国内客の飲食費などで見込まれた一・七兆円分が当面はなくなる」と試算している。

 ただこの金額以上に延期の影響が懸念されるのは、雷門旅館のように既に「コロナショック」の直撃を受けている業界にとって追い打ちになるからだ。東京都が今週末に不要不急の外出を控えるよう都民に呼びかけたのもダメージとなるのは避けられない。

◆2期連続マイナス成長は確実

 今後焦点となるのは、安倍政権が最も重視する国内総生産(GDP)への影響だ。感染拡大が直撃した今年一〜三月期の数値はまだ発表前だが、消費税増税の影響を受けた昨年十〜十二月期に続き、二期連続のマイナス成長に陥るのがほぼ確実な情勢になっている。

 最近の実績を振り返っても、物価変動の影響を除いた実質で、増税直前の七〜九月期は年率プラス0・1%とほぼゼロ成長、増税後の同十〜十二月期にはマイナス7・1%に沈んだ。増税前の消費の盛り上がりはないまま、落ち込みばかりが深いという結果だった。

 その後、家電販売などは増税の影響から徐々に回復していたが、コロナで状況が一変。日本経済研究センターがまとめた民間エコノミスト予測では、実質GDP成長率は年率で今年一〜三月期がマイナス2・89%と、コロナ影響で従来より3ポイント以上も下方修正した。

◆消費喚起策の効果も見通せず

 五輪延期のGDPへの影響は、「リーマン・ショックを超える」(エコノミスト)との見方もあるコロナとは比較にならないが、消費者を萎縮させる意味は小さくない。シティグループ証券の村嶋帰一氏は、開催予定だった七〜九月期の成長率は「年率で1%程度は下押しされる」とみる。

 菅義偉官房長官も二十五日の記者会見で、延期が国内経済に及ぼす影響を問われて「海外からの訪日客をはじめ、さまざまな効果が期待されていた」と述べ、観光業界などでの一定のマイナスは避けられないとの認識を示した。

 安倍晋三首相は今国会で「日本経済のV字型の回復を目指す」と繰り返し、来月には「巨大な経済対策」を編成する方針だ。ただ、外出自粛に加えて五輪延期で先行きへの期待もしぼむ中、商品券の配布など検討中の消費喚起策に効果があるか見通せていない。

(東京新聞)

観光ツアーが相次ぎ中止され、バスを清掃する従業員=宮城県で

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