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茨城ニュース

県議選と初のダブル選に 各党、戸惑いと期待交錯

衆院解散関連のニュースを伝える電光掲示板=水戸市のJR水戸駅で

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 安倍首相が衆議院解散を表明、県内にも総選挙の風が吹き抜けた。十二月十四日投開票の見込みで、初の県議選とのダブル選挙となる。国民に抵抗感がある消費税増税を先延ばしにした上で選挙に突入する与党の姿勢に、「アベノミクスの失敗」「大義なき解散」と野党は一斉に批判のトーンを強める。さらに県内の各政党は、県議選に向け全力で走り出したばかり。降って湧いた年末の国政選挙に、支援態勢もままならない戸惑いと党勢拡大への期待が交錯する。

 自民党県連の田山東湖幹事長(県議)は「総理の判断。ベストな選択と受け止める」と話す。ただ、「地方創生がまさにスタートする時に、ゼロに戻ってしまうのは…」と戸惑いも。首相が消費増税を一年半先送りとしたことには「党が慎重に検討した結果。県民も理解してくれる」と、選挙戦には影響しないとみる。

 応援の主力となる県議は、自らの選挙で手いっぱい。衆院選には「(県議選で)無風区の県議を中心に部隊を組む」とする。国政とのダブル選挙で、県議選がかすんでしまう可能性もあるが、仲間には「国と地方が一体となり、相乗効果で投票率が上がるという思いで頑張れ」と号令を下す。

 民主党県連の長谷川修平幹事長は「大義なき解散。政治と金の問題で行き詰まり、ちゃんとした審議ができないし、こちらの準備ができないうちに選挙を、ということだと思う。議員定数も削減せず、血税六、七百億円を使って選挙をするのは理解できない」と政権を批判。「今から準備を整えて対応する」とした。

 維新の党県総支部の石井章代表代行は「消費税増税の凍結を訴え続けてきた。選挙の準備はできている」と臨戦態勢。「七〜九月期の国内総生産(GDP)のマイナスで、安倍さんの政策は失敗だと答えが出た。アベノミクスの是非を問う」と気勢を上げる。

 共産党県委員会の田谷武夫委員長は「あまりにひどい政治で、世論に追い詰められた。解散は国民に大義がある」と語る。「政権打倒を掲げ準備を進めてきた」として全選挙区に候補者を擁立、「県議選との相乗効果で躍進するチャンス」とみる。

 「アベノミクスの失敗を覆い隠し、政権の延命を図るための解散」と社民党県連の井坂章代表は憤る。「自民は支持率が下がる前に過半数を維持する考え。選挙の大義はない」と切り捨てた。(林容史、宮本隆康、妹尾聡太)

◆県民や避難者に聞く

 突如として実施されるようにも見える衆院選を、どう受け止めるのか。十八日、県民、東京電力福島第一原発事故で福島から避難している人の声を聞いた。

 JR水戸駅に買い物に来た水戸市の主婦木村恵子さん(36)は「家計は苦しいので、消費税増税が先送りになるのはありがたい」としながらも「そのために衆院を解散して選挙をする意味がよく分からない。反対する国民はほとんどいないのに」と首をかしげた。「選挙をやればすごい金額の税金が使われる。税金が足りないと言いながら、無駄遣いするのは理解できません。そのお金を子育て支援とかに使ってほしい」

 水戸市の二十代の男性会社員は「内閣を改造したら不祥事で辞任する閣僚が相次いだ。政権運営に行き詰まったから解散を決めたようにしか見えない」と批判した。「ゲームみたいに、負けそうになったからリセットボタンを押して再スタートする感じですね。安倍首相の独りよがり」との見方を示した。

 つくば市内の公園で一歳の孫と遊んでいた美浦村の五十代の男性公務員は「消費税10%への引き上げの先送りに反対する政党がないとすれば、選挙をやる意味はないのでは。争点がはっきりせず、(投票に行く)気乗りしない人が多いのではないか」と話した。

 つくば市内の松代交流センターでは、福島第一原発事故で福島県内から自主避難している住民の交流会が開かれていた。南相馬市から土浦市内に避難している主婦伊賀和枝さん(38)は「年末の忙しい時期に解散するべきではない」とした上で、「自然や食べ物を守るためにも、原発の再稼働はしてほしくない」と選挙に向けて語った。

 三春町から石岡市に避難中の自営業渡部友紀さん(41)は「政治資金の問題で時間を取るくらいなら、施策を話し合う時間に充ててほしい。避難者がどういう生活をしているか、国会議員は分かっていない」と国政の現状を批判した。(成田陽子、松尾博史)