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茨城ニュース

いばらきの現場 衆院・県議ダブル選(4) 新中核病院建設

筑西広域市町村圏事務組合消防本部。救急搬送は綱渡りの状況が続く=筑西市で

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 筑西市の市民病院と桜川市の県西総合病院を再編統合し、救急医療を担う新中核病院を建設する計画が一向に進まない。今年三月、新中核病院は筑西市が単独で整備し、両市で運営する県西総合病院は桜川市が引き継ぐことで合意した。これに対し、公立病院の再編統合を促す国や県が、地域に二つの公立病院が残ると、互いに経営が厳しくなると指摘したためだ。両市と県の三者は、合意の見直しも含め協議しているが、打開策を打ち出せていない。

 「地産地消ではないが、医療問題も地元で対応するのが原則。できない以上、他の地域に頭を下げて受け入れてもらうしかない」。救急救命の最前線に立つ筑西広域市町村圏事務組合消防本部(筑西、桜川、結城市)の高橋誠一消防司令は、早期の新中核病院の必要性を訴える。

 同消防本部の昨年の救急搬送は七千百五十四人。このうち、手足の骨折や腹痛など、軽度から中程度の患者は約六割を地元の病院に搬送しているが、心疾患など重篤なケースは約四割しか地域で対応できない。主に自治医科大(栃木県下野市)や筑波大(つくば市)の付属病院に頼っており、綱渡りの救急業務が続く。

 県の最新のまとめでは、県内の人口十万人当たりの医師数は一六六・八人で全国平均の二三〇・四人を大きく下回り、全国で下から二番目。筑西、桜川市などでつくる二次保健医療圏「筑西・下妻医療圏」では九九・七人と、特に医師不足が深刻化している。

 さらに、同医療圏で気になるのが、迅速な対処が救命に結び付く心疾患、脳血管疾患の死亡率の高さ。人口十万人当たりの心疾患による死者は一六七・五人(全国平均一三九・二人)、脳血管疾患は一四三・六人(同一〇〇・八人)と、救急医療体制の整備が急務となっている。

 新中核病院の建設を待ち望み、市議会の傍聴席に毎回足を運ぶ筑西市の馬場泰則さん(74)が住む住宅地は、独り暮らしや高齢者世帯が多い。「高齢者が安心する地域医療を確保してほしい。患者が自治医大や筑波大に搬送されたら、高齢者は看病にも行けない」と行政に要望する。

 二十五億円の国の基金を活用して、県が策定した「地域医療再生計画」で打ち出された新中核病院計画。筑西、桜川市と県の三者による協議は現在、地域で求められる診療科目、患者の受け入れ状況など、基礎的なデータの洗い直しの作業が進められている。

 県医療対策課は「国からは三月の合意事項にだめ出しが出た格好。地域で必要とされる新中核病院の在り方をまず示し、そこから、合意事項の見直しも含めて、話し合いを進めている段階」としている。 (原田拓哉)

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