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◆5区(目黒・世田谷区南東部) 前回の「11万票」どこへ

 無党派層が比較的多く、前回、みんな、維新、未来の各党が候補者を立て、計十一万票あまりを獲得した。構図ががらりと変わった今回、これらの票がどう動くのか、注目される。

 「この二年、全力疾走してきたつもりですが、まだまだ地元を回りきれていないのは承知しています」

 公示の二日午後、目黒区の選挙事務所前で出陣式に臨んだ自民前職若宮健嗣さんは、こう切り出した。周りを地元選出都議や区議がぐるりと取り囲む。

 現在二期。前回、比例から小選挙区に転身したばかり。地元の後援会組織はまだない。九月までの一年間は防衛大臣政務官として、オスプレイ導入など国防の最前線で活動し、地元に入る機会が少なかった。

 それをカバーするかのように地盤を持つ都議や区議が支援する。序盤情勢では優位に立つが、陣営幹部は「前回のような民主の批判票は期待できない」と気を引き締める。

 民主元職の手塚仁雄さんは「この時期の解散は低投票率を狙っているのは見え見えだ」。寒風吹きすさぶJR目黒駅前で訴えた。

 当選と落選を三回ずつ経験し、今回が七回目の選挙。バッジを失った二年間、地元回りに力を入れ、駅前で演説も続けた。「都内でも自民支持率が低い地域。非自民色を出すのが得策」。アベノミクスの負の側面や集団的自衛権行使容認への批判を繰り返す。

 序盤は追う形となった。「街頭での感触は前回よりも確実に良くなっている。でも『前回は投票しなかったけど、今回は入れる』と言ってくれる人が少ない」。ギアを入れ替える。

 みんなの解党で、無所属で立候補した前職三谷英弘さんは演説で「うさんくさい政治の雰囲気を変えたい」と強調。自・民への批判票の取り込みを狙う。

 目黒区議を六期二十二年務めた共産新人の沢井正代さんは「消費税を増税する一方で、法人税減税をやる。逆立ちした税制だ」と生活者の視点で批判。今年二月の都知事選にも出馬した無所属新人のドクター・中松さんは「がん撲滅法」の制定を主張している。 (石井紀代美)

 ◇5区(5)目黒・世田谷区(南東部)

若宮健嗣 53 (元)防衛政務官 自前<2>

三谷英弘 38 (元)みんなの党役員 無<前><1>

手塚仁雄 48 (元)首相補佐官 民元<3>

ドクター・中松 86 発明家 無新

沢井正代 65 (元)目黒区議 共新

 (届け出順)

◆23区(町田・多摩市) 再戦4氏、懸命の訴え

 前回の六人から二人少ない四人が立候補した。四人は、いずれも前回と同じ顔ぶれとなった。

 「今回の選挙は本当に厳しい。まだ顔を覚えてもらってないんです」。自民前職小倉将信さんは二日、多摩市での第一声で懇願した。党の公募候補者で初当選してから二年。突然の選挙に戸惑いを見せる。

 日銀出身らしく金融政策通をアピール。他陣営がそろって「経済格差を助長」と反アベノミクスを展開する中、「取り残されている人たちのために仕事をする」と強調した。会社が倒産しても経営者の生活を守る新しい保証ガイドラインを策定するなど、中小企業保護の実績を力説して批判をかわしている。

 前回、逆風の中で小倉さんに二万三千票差まで迫った民主の櫛渕万里さん。衆院解散後、すぐに海江田代表が町田市に演説に入るなど、議席奪還に力が入る。「暮らしと平和を守る」ことを前面に出し、集団的自衛権の行使を容認した閣議決定やアベノミクスへの批判で、安倍政権への対決姿勢を鮮明にする。

 「冷凍食品まで値上がりすれば、お子さんのお弁当代も切り詰めなければいけない」と声を張り上げ、物価に敏感な主婦や母親たちに訴える。

 今回四人が初めて相まみえた先月末の公開討論会で、櫛渕陣営が意識したのは維新の新人伊藤俊輔さんとの差別化だった。維新は脱原発路線で民主よりも踏み込んでおり、票を食い合う可能性も高いからだ。

 その維新は世論調査で、全体の劣勢が伝えられている。伊藤さんの陣営幹部は「それは全国的な傾向だ。選挙区にはそれぞれの事情がある」とし、自民元衆院議員の父、伊藤公介氏の地盤を引き継いだ地縁の強みを生かしたい考えだ。

 団地や商店街を小まめに回って訴えているのは共産の新人松村亮佑さん。二人の子を持つ親として「子どもを戦場に送る国にはしない」と声をからす。大企業が抱え込む多額の内部留保の一部を社会に還元するなどアベノミクスへの対案も示し、支持層の拡大に躍起だ。 (栗原淳)

 ◇23区(4)町田・多摩市

小倉将信 33 (元)日銀職員 自前<1>

櫛渕万里 47 (元)経産委理事 民元<1>

松村亮佑 34 党地区副委員長 共新

伊藤俊輔 35 会社経営 維新

 (届け出順)